スーツを毎日のように着る社会人にとってワイシャツがピシっとしていると、モチベーションが上がって気持ち良く仕事に取り組みやすくなるのではないでしょうか。人によってはワイシャツのアイロン掛けは必須という方もいるでしょう。ですが、アイロン掛けが苦手な方にとっては、アイロン掛けはなるべく関わりたくないもの。そこで今回は、アイロン掛けの悩みを解決する形態安定シャツとはそもそも何なのか、形状安定シャツ・イージーケアシャツ・ノンアイロンシャツなどとの違いについて詳しく解説していきます。
形態安定シャツとは
画像はテイジンメンズショップ( TEIJIN MEN’S SHOP)の定番 形態安定 ロイヤルオックス ボタンダウンシャツ ホワイト(左) サックス(右)
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紳士服と言えばスーツ、スーツにはピンと張ったワイシャツが必須です。もはやワイシャツといえば、当たり前のようにシワができにくい加工をされているシャツを思い浮かべるのではないでしょうか。通販でも形態安定シャツはビジネスマンの欠かせないアイテムとして人気です。
洗濯して干すだけでシワができる悩みを解決し、ピンと張ったシワの無いキレイな状態を維持しやすい形態安定ワイシャツは、洗濯時のみならず着用している時にもシワができにくく、型崩れしづらいので長時間仕事で着用する方にとっても心強いアイテムでしょう。
そもそも形態安定シャツは、縫製前に薬品や熱処理による加工または、縫製後に薬品を吹き付けるなどの加工をしたシャツで、シワができる悩みを解決できる技術として約30年前に登場しました。今なおアイロンの手間がかからないお手入れが簡単なワイシャツは、多くの方に愛用されています。形態安定シャツが登場した当初は、コットンとポリエステルやレーヨンなどの混紡の生地が主流でしたが、現在では技術の向上とともにコットン配合を多くしたワイシャツや、コットン100%のワイシャツも登場してきています。
シワの残りにくさを表す指標が定められている
洗濯後のシワの残りにくさをW&W性(ウォッシュ&ウェア性)という指標が日本産業規格(JIS)によって定められています。通販やお店で購入する際に等級が示されていることで、シワができにくい加工の度合いの目安とすることができ、希望する防シワシャツを購入しやすくなります。
等級は1.0〜5.0級まであり、形態安定シャツや形状記憶シャツ・ノンアイロンシャツ・イージーケアシャツなどがこの中に当てはまります。ちなみに、まったくシワ防止加工がされていない等級が1.0級です。
形態安定シャツと形状記憶シャツとの大きな違いはなし
では一方、形状記憶シャツとは何なのでしょうか。実は形状記憶シャツとは東洋紡株式会社の登録商標であり、東洋紡ブランドのみに使用される防シワ加工シャツの商品名称となります。形態安定シャツと同じように、洗濯後にアイロンなしでもシワができにくいこと、着用していてもシワができにくい加工をされているシャツです。
形状安定シャツとも呼ばれている
ちなみに、形状安定シャツと呼ばれているシャツもありますが、形態安定シャツと同じように防シワ加工をされたシャツを指します。呼び方の違いであり、形状安定シャツもコットンとポリエステルの混紡や、コットン100%などの素材を使用した防シワ加工のシャツです。
防シワ加工シャツにはノンアイロンシャツもあり
形態安定シャツ・形状記憶シャツ・形状安定シャツのほかに「ノンアイロンシャツ」と呼ばれるシャツがあります。上記の加工されたシャツと同じく、シワを防ぐ加工をされているシャツで素材はコットンやポリエステルの混紡やコットン100%素材のシャツで基本は変わりません。
アイロンいらずのスーパーノンアイロンシャツ
さらに、「スーパーノンアイロン」というシャツもあり、シャツの素材にポリエステルのみを使用することでシワができにくい状態にしたシャツや、縫製する前に生地を冷やすといった特殊な方法を用いて作られたコットン100%のシャツがあります。コットン100%素材のスーパーノンアイロンシャツは、シワのできにくさと着心地の良さが好評で人気です。
素材にこだわるならイージーケア加工シャツがおすすめ
イージーケア加工シャツとは、簡単に言うと形態安定シャツよりもシワを防ぐ性質が弱いシャツということになります。というのも、薬品や熱加工を使用した防シワ加工ではなく、主に生地そのものの素材を工夫することで、シワをできにくくしているためです。素材としてはポリエステルやコットンとポリエステルの混紡がメインとなります。
形態安定シャツやイージーケアシャツのメリット&デメリット
画像はイージーケア加工がされたテイジンメンズショップ( TEIJIN MEN’S SHOP)の【100番双糸綿100%】ピンオックスボタンダウンシャツ ホワイト
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さて、多くのシワができにくい加工をしたシャツについて解説してきましたが、メリットとデメリットについても見ていきましょう。いずれもシワを防ぐ加工をしているシャツは、洗濯後のお手入れが楽になることが最大のメリットと言えるでしょう。アイロン掛けにかける時間と電気代、アイロン掛けまでお願いできる単身者に利用が多いクリーニング料金の節約を望めます。
また、乾きの良い素材で作られているシャツが多いため、洗濯してもすぐに乾くといった利点が挙げられます。形態安定加工されたシャツやイージーケアシャツが数枚あれば、少ない枚数のシャツでも着まわせるので、社会人デビューしたばかりでお金に余裕が無い新社会人の方にもおすすめです。
一方、デメリットとして上げられる点は、素材によって通気性や吸湿性が劣るということが挙げられます。通気性や吸湿性が低いことで、熱がこもりやすかったり、ベタ付きやすかったり、といった不快を感じやすい恐れがあります。ポリエステルの使用率が高いほど、不快を覚えやすい傾向にあるでしょう。
そして、形態安定シャツ・形状記憶シャツ・ノンアイロンシャツであっても、洗濯の仕方によってはシワができてしまうので注意が必要です。
形態安定シャツ&イージーケアシャツの洗濯方法と干し方
では、シワが付きにくい加工をされたシャツやイージーケアシャツの機能を発揮するための洗濯方法や干す際の注意点とはどんなことでしょうか。
まず、基本の洗い方として、生地のこすれや絡みによる生地自体のダメージを防ぐために、襟元や前ボタンを数か所留めてから洗濯ネットに入れて洗いましょう。洗い終わったら脱水し過ぎないことも重要です。脱水時間を15〜20秒ほどにして、布地に水分をまだ含んだ状態に留めます。いわゆる「濡れ干し」をすることで、生地に水を含んだ重みで生地を伸ばし、余計なシワができないようにします。
干す際は、ハンガー自体の型がつかないようなハンガーを使用し、色あせを防ぐために太陽光が直接当たらない陰干しをしましょう。
アイロン掛けする時は高温NG
乾かした後に、もしもシワが気になる場合はスチームアイロンでお手入れするだけでほとんどの場合は改善できるでしょう。スチームアイロンではない場合は、アイロンの温度に気を付けます。防シワ加工は高温に弱いため、元の加工を崩さないためにも高温を避けて低温~中温程度にしてアイロン掛けすると良いでしょう。
また、コットンの使用率が高いシャツの場合は、アイロンを使用した方が良い場合もあります。コットンの使用率が高いシャツには高級価格帯のシャツも多く、生地自体の滑らかさを重視したい方や、肌にやさしいものを着用したい方にはコットンの使用率が多いタイプのシャツがおすすめです。洗濯の際には、コットン使用率が高いほどシワになりやすい傾向がありますが、軽くアイロン掛けをすることでシワを改善できます。
形態安定加工シャツはクリーニングで劣化のリスクあり
ちなみに、単身者の方に多い“シャツはクリーニングに出す派”の方は形態安定のシャツをクリーニングに出すのは注意が必要です。形態安定はあくまで家庭での洗濯をした場合に想定して作られており、クリーニング店の仕上げ方によっては高温でプレスした場合、形態安定の機能を損なうリスクがあります。
特に襟とカフス部分にはピンと張りを持たせるために芯地が使われており、芯地は生地と接着処理されています。そのため、高温スチームでアイロン処理してしまうと、生地を傷める結果になってしまいます。形態安定シャツを長持ちさせたい方にはクリーニングに出す際は注意が必要です。
まとめ
今回、形態安定シャツについての解説から、形状記憶シャツと形状安定シャツ・イージーケア、ノーアイロンについての違い、防シワシャツの洗濯方法、注意点などについて詳しく解説してきましたがいかがでしたか。防シワ加工されたシャツを選ぶことでお手入れも楽になり、時間を有効的に使えるでしょう。
また、コットンならではの風合いを楽しみたい方は、アイロンを軽く掛けるだけで快適に着られるイージーケア加工のシャツは特におすすめです。ワイシャツを含め紳士服は今や通販でも便利に購入できます。購入する際は、利便性や着心地から快適なシャツ選びをしてみてください。今回の記事がシワ防止加工シャツ選びの参考になれば幸いです。