「紳士」のたしなみ、というと上質なワインやクラシック音楽などに造詣が深いなどのイメージを持つかもしれませんが、根底は“紳士的な精神と行動”にあります。外見をいくら取り繕っても中身が伴っていなければ残念に感じられてしまうでしょう。そこで、今回の記事では、「紳士」としての模範となる振る舞いや、紳士服のスマートな着こなし、着こなしのマナーなどについて詳しく解説していきます。
紳士の心得
「紳士」の心得に必要なのは、人に不快感を抱かせず、好感が得られる言動にあります。学校教育でも盛んに男性・女性に限らず“挨拶”に力を入れるのもその1つの現れでしょう。教養やマナーを身につけることで、ビジネスの場でイメージアップにつながるような「紳士」の心得について順に見ていきます。
紳士はスマートさが大切!模範となる行動や振る舞いを
「紳士」の行動はスマートさがポイントです。状況を見極めながら空気を読んだ行動と態度をとることが大切となります。特に忙しい時はバタバタしがちですが、相手の方に安心感を与えるような行動を意識しましょう。あらかじめ分からないことは調査しておく、質問すべきことはメモしておく、といった準備もしておくことでいざという時に慌てず冷静な判断がしやすくなります。
不快感を持たせない礼儀やマナーを身につける
具体的に礼儀やマナーはどんなことに気を付ければ良いのでしょうか。まずは、第一に丁寧な話し方が挙げられるでしょう。誰もが最も意識する点であると思われますが、同僚同士でいる時ならばともかく、先輩や取引先の方にタメ口はNGです。基本的な尊敬語や謙譲語は身につけておくのが鉄則になります。一緒に過ごす時間が多い、仲が良い先輩や上司に対してついタメ口で話しかけたくなるかもしれませんが “親しき仲にも礼儀あり”を意識しましょう。
また、会食などの際の食事マナーも頭に入れておきます。口を開けて咀嚼する、箸で物や人を指し示す、箸で刺して食べる、など見ていて不快を覚える食べ方はやめましょう。強すぎる香水をつけるのも避けます。
相手も自分も気持ち良く過ごせる気配りを
さらに、精神面での気遣いにも気を配りましょう。公平な視点で物事を判断し、積極的な解決方法を示していくのも「紳士」として大事な行動&振る舞いになります。早口で一方的に話さず、丁寧な言葉使いを意識するようにします。
また、欧米ではレディファーストが根付いているため、海外出張などの際には特に注意しましょう。レディファーストな行いができないと一般常識が無いと判断され、社交の場から孤立してしまう恐れがあります。普段から女性を優先する意識を持つと良いでしょう。
紳士服の身だしなみ
次は「紳士」の身だしなみについて取り上げていきます。“人は見た目が9割”と言われるほど、最初の見た目が人の印象に影響します。そこで、身だしなみについて気を付けるべき点を順に見ていきます。
スーツは適切なサイズ選びをする
スーツのサイズは身体のラインに沿って大きすぎず、小さすぎもしないジャストサイズを選びましょう。スーツによっては身体のラインが強調されるタイプのスーツの種類もありますが、初対面の方と会う時にはジャストサイズのスーツが無難と言えます。ゆったりしすぎるスーツもルーズに見えてしまう恐れがあるので避けましょう。
普段のお手入れにブラッシングの習慣を
1日着用したスーツは知らない間に目に見えにくいゴミやホコリが付いています。そのため、帰宅したらブラッシングする習慣を取り入れておくと大切なスーツを長持ちさせられます。特に花粉の季節はブラッシング習慣をつけておくと花粉を家に持ち込むリスクを減らせるので効果的です。
ブラシの種類はローラー式や回転式エチケットブラシなどがありますが、柔らかめの毛質を選ぶと生地を傷めにくいのでおすすめです。縫い目などの溝はホコリが溜まりやすいので集中的にケアしてあげると良いでしょう。
スーツ専用ハンガーを使って収納する
スーツを収納する場合はシワにならないように専用ハンガーを使用することをおすすめします。スーツ用ハンガーは肩部分に厚みを持たせることで型崩れしにくく、通気性が良い状態に保てます。スラックスはハンガーにピンチが付きのタイプや、スラックスが挟めるバーが付いているタイプのハンガーがあり、センタープレス部分をキレイにキープしながら収納できるので便利です。ジャケットとスラック別々の専用ハンガーは、ツーピースではない時に使いやすいでしょう。
ちなみに、収納する前に汚れがある場合は硬く絞ったタオルなど叩きながら汚れを落とします。落としがたい場合はクリーニングに出してプロにお任せするのがおすすめです。少なくともシーズンごとにクリーニングに定期的に出すとカビの発生も防げて良いでしょう。家で洗えるスーツを選ぶのも1つの方法です。キレイにした後に長期的に保管する時は、スーツ専用の保管シートを使用するとホコリなどから守れます。
紳士服を着用する上での主なマナー
暑くなる夏の時期は特にスーツの着方に注意が必要です。我流にスーツを着崩してしまいだらしない印象にならないように、紳士服を着る時のマナーについても改めて確認していきましょう。
立つ時はボタンの一番下は留めず座る時はボタンを外す
まず、スーツを着用した時はフロントボタンの一番下は留めない、というのが基本的なマナーになります。全てのボタンを留めてしまうと全体的にシワが寄ってしまい、見た目が悪くなります。
また、椅子に座る時にはジャケットのボタンを外しておくと、余計なシワがつかずスマートに見えます。スラックスは座る際に生地が引っ張られるため一部分に生地に負担がかかりやすい状態となっています。そのため、座る前にパンツ部分を軽く上に持ち上げて生地に余裕を持たせてから座ると、生地に負担がかからず良いでしょう。
ポケットは詰め込まずスマートなラインをキープ
スーツのラインを崩さないために、基本的にポケットにはハンカチ程度のかさばらない物のみに留めます。仕事をしているとついついペンやメモなど入れたくなってしまいますが、ペンやメモの重みで型崩れし、スタイリッシュに見えません。物を入れる必要がある時は、内ポケットを活用するとスーツ生地の厚みで着崩れしにくくなります。
スラックスはプレス部分をキレイにキープ
人は生活するにあたって立ったり座ったり、場合によっては走ったりと忙しく動きます。特に脚部分はダイレクトに影響されやすい部分なので、シワや汚れに気を付けましょう。肉感を拾わないサイズのスラックスを選ぶのもスマートに見せるコツです。
ネクタイは身長に合わせる&ディンプルにこだわる
ネクタイは、短すぎても長すぎてもだらしなく見えてしまいます。一般的にベルトのバックルに届くくらいが丁度良いとされており、日本人の体型に合わせて140cmから145cmの長さのネクタイが広く販売されています。
ネクタイの収納はシワができてしまわない様にネクタイ専用ハンガーに吊るすか、シワがつかないように軽く巻いて収納すると良いでしょう。白色・ホワイトのワイシャツに合わせて落ち着いた濃紺色・ネイビーなどのカラーのネクタイを合わせると清潔感が得られるコーデになりおすすめです。
体型に合わせてベルトの長さ&穴位置を調整しておく
ベルトは、スーツと合わせる時はカジュアルにならない革素材を選びます。靴のカラーと合わせると統一感が出しやすくなるのでおすすめです。ベルト穴が5つあるタイプの「ピンバックベルト」は中央あたりで留めると、バランス良く見えます。細身のスタイルの方は、ベルト穴の位置や長さを調整しておくと良いでしょう。また、スタイルに合わせて調節できるベルトが通販などで販売されているので好みに合わせて選んでみてください。
ビジネスには紐靴と肌が見えない丈の靴下を選ぶ
ビジネスシーンには、黒色・ブラックか茶色・ブラウンのストレートチップタイプである紐靴が、どのシーンでも取り入れやすくおすすめです。ローファータイプなどの靴は、脱げやすいのでビジネスの際にはふさわしくありません。靴先がシャープすぎるタイプの靴も足元が目立ちやすいので避けましょう。
靴下は、肌が見えない丈を選びます。カラーは黒色・ブラック、灰色・グレー、紺色・ネイビーが基本です。靴を脱がないからと指先に穴が開いた靴下や、かかと部分が透ける程に生地が薄くなってしまった靴下は、見られてしまった時に恥をかくことに。心当たりがある方は速やかに新しい靴下に替えましょう。臭い対策も忘れずに行います。着用した靴下は漂白剤に付けるか、予洗いをしておくと雑菌を抑制し臭いを防ぎやすくなります。
まとめ
今回、紳士の心得や身だしなみや紳士服を着用する際のマナーなどについて詳しく解説してきましたがいかがでしたでしょうか。スマートな紳士の振る舞いや行動・マナーを意識することで、ビジネスの場で相手の方と気持ち良くやりとりができるようになれば、より働きやすくなるでしょう。今回の記事が参考になれば幸いです。