キルティング生地のアウター、巷ではよく見かけますね。動きやすいキルティング素材は性別・年齢問わず使いやすい生地なので、アウターに選ぶ方も多いでしょう。かつては機能性から選ばれることも多かったキルティング生地のアイテムですが、昨今はキルティング素材もリッチ感がある見た目に進化中です。そこで今回は、キルティングの意味や起源、特徴、メリットとデメリット、種類、メンズにおすすめの取り入れ方、お手入れ方法などについて詳しく解説&紹介をしていきます。
キルティングとはなに?
キルティング、という言葉はなにを指すのでしょう?意味や起源について見ていきます。
キルティングの意味は〇〇を入れて縫った手法
キルティング(quilting)は、オランダ語の“装う”と“巻きこむ”という意味の「kilte」やラテン語の“ステッチされた”という意味の「cucita」が由来となっていると言われています。
表と裏の生地の間にコットンや羊毛、羽毛などを挟み込むことで、暖かさを得られる手法です。
ちなみに、キルティングコートと言った場合、中綿(人工中綿含む)を指しており、羽毛を挟み込んでいる場合はダウンコートと呼びます。
キルティングの起源
キルティング生地が使われ始めたのは古代エジプトまでさかのぼると言われています。
エジプトというとかなり暑いのではと、思われるかもしれません。当時の気温を知ることは難しいですが、温暖化が進んでいる現在でもエジプトの冬の平均最低気温を調べると14℃ほどですから、防寒着が必要であることが分かります。
また、ロシアやギリシャ、ローマ、中国などでもキルティングが敷物や鎧の中のインナーとして使われていたとされています。
キルティング生地の特徴は?
キルティング生地の特徴について解説していきます。
暖かい
中に中綿が挟まれているので暖かさを得られます。街の中に限らず釣りやキャンプ、乗馬などのシーンでも防寒アイテムとして使われています。
中綿の層があることで、暖かい空気が移動することを防げるのです。断熱効果があるので、外気の冷たい空気も遮りやすくなります。
軽い
キルティングの中身である中綿は昔ながらのコットンではなく人工的な中綿が開発されており、軽くて扱いやすい高機能なタイプが誕生しています。
これらは、繊維の中心が空洞である構造などから軽さが得られて快適性もアップします。マント型など通常では重くなりがちなシルエットタイプにも向いています。
撥水性
キルティング生地に多く使われているポリエステル素材は、ポリエチレンテレフタレートという化学物質を原料としていることから、水を弾きやすい特性があります。
また、ポリエステル素材は撥水加工しやすい素材です。撥水加工されていることで雨や雪などの水分が内部に入り込むのを防ぎやすくなります。水性の汚れにも対応しやすいです。
ステッチの種類がある
キルティング生地のステッチの種類は豊富です。横ラインや斜め、縦横、ダイヤ型、波型、ひょうたん型などさまざまなステッチがあります。全身をスッキリと見せやすい代表例ではダイヤ型が挙げられ、ボリュームが抑えやすくなります。
また、ステッチではない圧着タイプや超音波振動による加工でキルティング生地をつくる技術も生まれています。
丈やシルエットが豊富
高機能中綿などが増えている関係でショート丈、ミドル丈のスタンダードな丈以外にも多くの丈やシルエットが見られます。
くるぶしまであるロング丈やポンチョタイプなども見られるようになりました。レディースではキルティング生地を使ったフレアロングスカートなども人気です。
また、キルティング生地とボアなどのリバーシブルタイプの裏表なく着られるタイプもあります。
自宅で洗える物も多い
昔ながらのコットン100%やコットンが70%ほどの割合で含まれる中綿を使用した物の場合、自宅での洗濯は可能ではありますが、洗濯をすることで中綿が縮む可能性があります。ポリエステル100%の中綿であれば、縮む心配を特にしなくても良いでしょう。
キルティング生地のメリットとデメリット
万能感があるキルティング生地にもメリットとデメリットがあります。それぞれについて解説します。
メリット
キルティング生地のメリットはたくさん挙げられます。
着やせしやすい
ダウンよりもボリュームが少ないキルティング生地は着やせしやすいアイテムです。ステッチが入ることで全身スッキリとした印象に仕上がります。カーディガン感覚で羽織れるのが嬉しいところです。
カラーが豊富
定番のネイビーやブラック、グレー、カーキのほかにも、明るさの出るカラシ(マスタード)やベージュ、ホワイトなどカラーも豊富です。
なりたいイメージの着こなしに合わせたコーディネートがしやすいでしょう。特にカーキはミリタリーっぽい雰囲気になり、カジュアルコーデによく合います。逆に落ち着いたカラーならばスーツスタイルにも合います。
かさばりにくい
薄いのでかさばりにくいです。ウール素材や厚手のダウン素材などは脱ぐと意外と邪魔になりがちです。薄手のキルティング生地ならば、軽くたたんで鞄の中に入れたり、椅子にかけたりできるので便利です。
肩が凝りにくい
軽量の中綿素材により、フェルト生地などに比べて断然軽いのが魅力です。冬場はレイヤードして着ることも多いですから、アウターが軽いというのは大変なポイントになります。軽いキルティング生地のコートやジャケットは年齢を重ねた方にもおすすめです。
スナップボタン(ドットボタン)が多く脱ぎ着がラク
キルティング生地のコートやジャケット、ベストはキルティングのステッチを活かすボタンが多く見られます。
スナップボタン(ドットボタン)はパチンと留めるだけなので脱ぎ着が簡単です。小さなお子さんやお年寄りでも扱いやすいでしょう。メガネをかけないとボタンが良く見えないといった場合にも凸凹のある部分を重ねて留めるだけなので容易です。
クッション性がある
中綿がクッションの役割を果たします。丈夫で柔らかいので、幼稚園バッグの布地として指定されたり、選んだりすることが多いでしょう。
現在、韓国でも「ヌビバッグ」といって韓国の伝統的な布地を使って作られたキルティング生地が人気です。韓国のお土産として購入する方も多く、通販サイトなどでもよく見かけます。
ヌビバッグは収納力という点以外でも柔らかい手ざわりが魅力であると評判です。呼び方は違えどキルティングのソフトな触り心地は人気となっています。
デメリット
キルティング生地のデメリットにも触れておきましょう。
通気性が低め
表生地と裏生地に中綿がサンドイッチされている状態ですので、通気性は低めです。薄手のものであればあまり感じることはないかもしれませんが、厚手のものは乾きづらいでしょう。キルティング生地の厚みに応じて洗濯する日を考えると良いでしょう。
ステッチ部分が劣化
キルティング生地の魅力でもあるステッチは、逆の視点から見れば、ほつれができる可能性もあります。鋭いものに引っ掛かってステッチ部分の糸が切れてしまうことも考えられます。また、劣化につながる可能性もあるでしょう。
サイズやシルエットによっては野暮ったく見える
サイズが大きい、広がりやすいシルエットなどの場合、着方や体型によって冴えない印象になる場合があります。野暮ったく見えないように着こなし方などについて気を付けることで見え方も変わるでしょう。
キルティング加工はコートやジャケット以外にも活躍している
キルティングの加工をされた生地はコートやジャケットのアウター以外にもいろいろな場所で使われています。どんなアイテムがあるか紹介します。
キルティング加工で流行りのジレ
インナーダウンと並んで人気の中綿使用のインナージャケットやベストやジレタイプもよく店頭やネット通販サイトでも見かけます。春や秋の羽織としても使えるので便利です。カラーも豊富なので、洋服に合わせて数着持っている方もいるかもしれませんね。
キルティング加工は寝具やカバンなどにも人気
先ほど紹介した韓国発のヌビバッグなど、バッグやクッション、寝具、カバーなどにも使われています。メンズのショルダーバックなどもよく見かけるようになりました。キルティング生地のバッグを取り入れるだけで、季節感あるコーディネートがしやすくなります。
キルティング生地のメンズにおすすめの取り入れ方
ここからはキルティング生地を使ったアイテムのおすすめの取り入れ方について紹介します。
キルティング生地のコート
コートは、キルティング生地のアイテムと言えば、真っ先におすすめしたいアイテムです。ビジネスシーンからプライベートシーンまで幅広く使えます。
襟の形は、ステンカラータイプやフード付きのフード襟、襟の無いノーカラーなど選べるので、コーディネートに合わせて選ぶと良いでしょう。
キルティング生地のジレ
ジレは、インナーとして活躍するアイテムです。インナーダウンよりも洗濯しやすく、着用することで、身体が引き締まって見える効果に期待できます。スタイリッシュな着こなしをしたい時にも役立ちます。
キルティング生地のボトムス
ボトムスは、カジュアルコーデの時におすすめです。防寒性は抜群ですので、キャンプ場などでも活躍します。タウンファッションとしても取り入れている人も増えています。

キルティングのお手入れ方法
キルティング生地のお手入れの仕方について解説します。
事前準備
まずは、洗濯ラベルを確認しましょう。手洗いできるのか、洗濯機で洗えるのかが分かります。
手洗いの場合
手洗いでは、ややぬるいと感じる水温に中性洗剤を溶かし、たたんで洗濯ネットに入れたキルティングアイテムを入れて押し洗いします。
洗濯機洗いの場合
洗濯ネットのキルティングアイテムを入れて、弱水流や手洗いコースなどを選び洗濯します。洗剤は手洗いと同じく優しく洗える中性洗剤を使います。
どちらも直接日光が当たらない場所に干す
いずれの場合も脱水を1分以内に留めてシワを伸ばして陰干しします。よく乾いてから取り込みます。
まとめ
今回、キルティングの意味や起源、特徴、メリットとデメリット、種類、メンズにおすすめの取り入れ方、お手入れ方法などについて詳しく解説&紹介をしてきましたがいかがでしたでしょうか。キルティング生地は軽くて暖かく、ぜひ1着は持っておいて欲しいアイテムです。軽いコートが欲しいという方はぜひ、チェックを!今回の記事が、メンズ向け通販サイトや紳士服専門店での上手なお買い物のヒントになれば幸いです。