年が明けて少しずつ春の訪れが楽しみになってくるこの時期、徐々に洋服素材もしっかりした生地から艶やかで柔らかな風合いを持つ春につながるような素材を意識していきたいところです。そんな時期におすすめの素材はサキソニーです。サキソニー素材は、取り入れられる時期も長く、見た目もスタイリッシュ。そこで今回は、サキソニー素材の特徴、活躍する時期、サキソニー素材の魅力、メリット&デメリット、他の似た素材との比較などについて詳しく解説&紹介をしていきます。
サキソニー素材とは
「サキソニー」という言葉は、ドイツのザクセン州にて飼育されているサキソンメリノ種の羊から作られた毛織物を呼ぶ言葉です。以下にてサキソニー素材の特徴について解説していきます。
細番手のウール糸使用
サキソニー素材は、短い毛を撚って作った紡毛糸(ぼうもうし)や梳毛糸(そもうし)と言われる短い毛や余計な物を取り除いて撚った糸を使用して作られた生地です。
細番手と呼ばれる細い糸を使用していることから、毛羽立ちが少なくとろみ感ある生地が生まれます。身体に馴染むような落ち着き感があり、着ぶくれしにくい特徴があります。ウールオンリーのウール100%だけでなく、レーヨンやポリエステル、ポリウレタン、アクリルといった化繊、カシミヤ、コットンなどの動物繊維を使用したウール混サキソニー生地も多く見られます。
綾織りや平織りがある
サキソニーには綾織りと平織りという織り方の違いによる2種類があり、綾織りはなめらかでぬくもりがあるバランス感のある仕上がり、平織りは弾力性と軽やかさや柔らかさがある仕上がりの違いがあります。どちらにも共通して言えるのは、艶やかできちんと感ある生地に仕上がっているという点です。
また、双糸使いという2本の糸を撚り合わせて1本の糸として使用する織り方により、耐久性が増して型崩れしにくいように工夫されているサキソニー素材もあります。双糸使いすることで、肌ざわりの良さも得られます。
サキソニー素材の活躍する時期
サキソニー素材の活躍する時期は、秋や冬といったイメージする方が多いでしょう。季節に応じた取り入れ方のポイントなども挙げながら、順に見ていきましょう。
秋
サキソニー素材は、ソフトな起毛感が特徴。よって、まだ寒さが本格的ではない秋から活用していくことが可能です。厚みのある本格的な冬素材に突入する前に、サキソニー素材をコーデに取り入れれば季節感ある着こなしを楽しめます。フリースやボア素材とは異なり、もこもこしてしまうことがないので、大人紳士らしい洗練されたイメージの着こなしにしやすいでしょう。ブラウンやチェックなど秋にピッタリ合うカラーや柄も豊富です。
冬
冬は、下着やインナーを上手に活用しながら取り入れるのがおすすめです。冬ならではのレイヤードコーデで、大人メンズに合うスタイリッシュなスタイリングからトラッド感のあるこなれたオシャレなスタイリングまで幅広く活用できます。
ごわつきなく身体になじむことから動きも妨げず、冬場のビジネスシーンのスーツスタイルにもピッタリです。また、コートを着ると暑いし動きにくいからコートはなるべく着用したくない!といった方にもサキソニー素材のスーツやジャケット、スラックスはおすすめです。
春先もOK
春にサキソニー素材?と思われるかもしれませんが、春先もまだまだ朝や夜は冷える時期です。サキソニー素材は起毛していると言っても、通常のスーツ生地がほんのりと起毛している程度なので、スタンダードなスーツと同じように春先も違和感なく着られます。
もし、秋冬用スーツを新調したいと考えているならばぜひ、秋・冬・春先と長く使えるサキソニー素材でのスーツの新調がおすすめです。
サキソニー素材の魅力
上記にてサキソニー素材の特徴と共にメリットについても軽く触れましたが、より深くサキソニー素材の魅力について説明します。
体型をキレイに見せられる
サキソニー素材は、落ち感があるのでお腹周りやお尻周りをやさしく包み込みキレイに見せてくれます。ボリュームが出過ぎずに包み込んでくれるような質感なので、立っている姿勢の時はもちろん、屈んだ時にお尻部分に生地がピッタリ張りつくことなく快適に着られるでしょう。また、馴染む生地の特徴から生地の浮き感も気になりにくいといった点も魅力です。
今っぽい着こなしにマッチ
スーツやセットアップ、ジャケット、ブレザー、スラックス、そのほかのパンツなど幅広く使われるサキソニー素材は、今っぽい着こなしに取り入れやすい素材でもあります。
人気のオーバーサイズのジャケットやワイドパンツ、ジレ&ベスト、シャツなどのアイテムにサキソニー素材を取り入れるのも人気です。しっとりとした着心地が、レイヤードスタイルもキレイに決まります。ちなみに、サキソニー素材はレディースでも人気。メンズと同じくシャツやパンツといったアイテムのほかにも、ワンピースなどにも取り入れられています。
サキソニー素材のメリットとデメリット
万能なサキソニー素材ではありますが、メリットばかりでなくデメリットもあります。どのような点に気を付ければ良いのかに触れながら解説します。
サキソニー素材のメリット
サキソニー素材のメリットは、起毛していて暖かいことがまず挙げられます。肌なじみが良く、シャツのようなインナーアイテムの場合もスッキリとして着られます。
また、軽さがあり上品に見えるのもポイント。弾力性や通気性にも優れていてシワになりにくいのも扱いやすい点です。ハリ感というより落ち感を楽しむ生地なので、オーバーシルエットのアイテムもキレイに着こなしやすいでしょう。
フォーマル感があるのでスーツ生地として使用されるほか、動きやすくて耐久性やきちんと感ある着こなしができる点から学生服などにも採用されています。
サキソニー素材のデメリット
サキソニー素材のデメリットは、起毛している分、起毛がつぶれやすいという点が挙げられます。また、長時間同じ部分に圧力がかかるとテカリの原因にも。また、水に弱いので雨に濡れると、雨にあたった部分に雨シミが付きやすくなります。雨の日は着ないようにするといった配慮が大切です。
また、摩擦にも弱いので洗濯をする際には、ダメージによる生地のすり減りや毛玉にならないように洗い方や洗剤の種類を選ぶ必要があります。洗濯後は干し方や干す場所に気を付けてシワにならないようにするのも大切です。

サキソニー素材に似た素材との違い
サキソニー素材と似た素材があります。サキソニーとよく比較される生地との違いについて説明していきます。
フランネル
フランネルは、紡毛糸(ぼうもうし)を使用した平織りでしっかりとした重みがある見た目が特徴です。サキソニー素材よりもフェルト感があり、一般的に羊毛を主にして構成されています。
ほっこりとした見た目から洋服だけでなく、バッグの生地に使われたりも。カジュアルシーンではフランネルのチェックシャツなどが良く見られるでしょう。
メルトン
メルトンは、ウールのほかにもアクリルやコットンなどの素材も混紡してつくられることもあるフェルト状にした生地です。圧力をかけてフェルト状にすることで、暖かくて撥水性にも優れます。
サキソニー素材に比べて重量があり、ずっしりとした存在感があるのが特徴。しっかりとしている分、やや機動性は劣ります。主に冬向きの素材です。
ツイード
ツイードは、素朴な生地感で秋や冬に活躍する素材です。しっかりとした生地で丈夫なのが特徴。トレンドに関係なく毎年、使えるトラディショナルな生地と言えるでしょう。
ハリコシ感がある生地で、艶やかでなめらかなサキソニー素材よりもナチュラル感のあるどこか懐かしい雰囲気が異なります。ちなみに、カシミヤを混紡したなめらかな質感のツイード生地もあります。
ラムサキソニー
ラムサキソニーは、生後5〜7ヶ月前後の羊の毛を使ったウールサキソニー素材で、綾織りまたは平織りで織られています。よって、サキソニー素材の仲間ですが、一般的なサキソニー生地よりも繊細な織り目となり、よりなめらかな質感を得られます。
ラムウール自体、繊維が細くてツヤ感があるため、ウールの中でも高級品とされています。ラムウールを使用したサキソニー生地は高級感ある質感が魅力となっています。
まとめ
今回、サキソニー素材の特徴、活躍する時期、サキソニー素材の魅力、メリット&デメリット、似た素材との比較などについて詳しく解説&紹介をしてきましたがいかがでしたでしょうか。ふっくらと柔らかでありながら肌になじむサキソニー素材はスーツだけでなく、ジャケット、ベスト、シャツ、パンツなど多くのアイテムに取り入れられる魅力ある素材です。ぜひ、使い勝手の良いサキソニー素材を取り入れたコーデをしてみてはいかがでしょうか。今回の記事が、メンズ向け通販サイトや紳士服専門店での上手なお買い物のヒントになれば幸いです。