「シンプルなシルエットで流行り廃りなく使えるきちんと感のあるアウターが欲しい」そんな願いを叶えるのが“バルマカーンコート”です。タイムレスなシルエットだからこそ、いろいろと使えるバルマカーンコートは、メンズのスーツコーデにもピッタリ。そこで今回は、バルマカーンコートの特徴や歴史、メリット、ステンカラーとの違い、バルマカーンコートを使ったスーツコーデやカジュアルコーデについて詳しく解説&紹介をしていきます。
バルマカーンコートとはなに?
「バルマカーンコート」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。言葉は意識していなくても街中で見かけることが多いので、きっと物自体を知っている方は多いはずです。冬のキレイめコーデの顔にもなるバルマカーンコートについて説明します。
ラグラン袖
バルマカーンコートは、ラグラン袖であることも特徴の1つです。ラグラン袖とは襟部分から脇の下に向かって斜めに袖を取り付けられた袖のデザインで、「ラグランスリーブ」とも呼ばれます。
なだらかな曲線を描くように袖を取り付けることで、腕の上げ下げがしやすくなり機動性がアップ。
ちなみに、ラグランとはイギリスのラグラン将軍の名前です。ラグラン将軍は、負傷兵にとってカッチリとした軍服は腕を動かしにくくなるため、袖の付け根を斜めにすることで動かしやすいように考案したと言われています。現在ではTシャツやセーターのデザインなどにも使われています。
バルカラーとも呼ばれる
バルマカーンコートは、「バルカラーコート」または「バルカラー」とも呼ばれています。正式名称はバルカラーコートですが、カジュアルにバルカラーと呼ばれることもが多いでしょう。
バルマカーンコートの歴史
次に、バルマカーンコートの歴史について見ていきましょう。
イギリス発祥
バルマカーンコートは、イギリス北部のスコットランド内にあるバルマカーン地域(balmacaan)発祥であり、狩猟の際に着用されてきたとされていたという説や、軍用アウターから派生したという説があります。
天候に対応するための防寒着
イギリス北部は特に雨が多く風も厳しい地域ですから、雨風からしっかりと守れる比翼仕立てやラグランスリーブといったデザインは必要とされるデザインでした。
特に前身頃の重なり部分は、風が強く吹いても隙間から冷たい空気が入りにくくなり、雨が入り込むのも防ぎやすくなります。バルマカーンコートは、防寒性に優れた理に適うシルエットなのです。
バルマカーンコートのメリット
バルカラーコートは機能性に優れたアウターでもあります。おすすめするメリットについて説明していきます。
シンプルなデザイン
シンプルなデザインで主張がないので、スーツスタイルやカジュアルスタイルにも合います。シーン問わず使えるので、1枚持っておくとオンオフどちらも使えて便利です。また、時代に関係なく使えるところも素晴らしい点です。スーツの美しいシルエットも邪魔しません。
上品でクラシカルな雰囲気
タイムレスな雰囲気であることからトラッドスタイルにもマッチします。大人の紳士スタイルもお手の物。いつものスーツスタイルにサッとバルカラーコートを羽織るだけで、全身のコーデがキレイにキメられるのもポイントです。
カジュアルにも合う
バルカラーコートはシンプルなシルエットなので、スーツ以外のスタイルにも合うのが最大のメリットかもしれません。まさにシンプルイズベスト。シンプルであるがゆえに、さまざまなアプローチができるのが魅力です。
ワイドパンツ、スニーカー、Tシャツ、ニットなどどんなアイテムともケンカすることなく馴染みます。どこかにキレイめなテイストを盛り込むのがポイントです。
ステンカラーとの違いとは?
バルカラーコートと言うと、ステンカラーコートのことでは?と、言われることがあるかもしれません。違いについて説明します。
ステンカラーは和製英語
ステンカラーコートは和製英語です。「スタンド・アンド・フォール・カラー」がなまった結果、ステンカラーコートと呼ばれるようになったという説があります。
後は、ステンはフランス語の“soutien”=支えること、支援することの意味からきているという説もあります。
どちらも襟に関する言葉が由来になっていますが、海外ではステンカラーでは全く伝わらないのが現状。海外でバルマカーンコートのシルエットを説明する時は注意が必要です。
ステンカラーと同等
実際のところ、バルカラーコートとの違いがあるのかと言われると、実は違いはありません。日本独自の名前で呼ぶようになったことからしても、バルカラーコートとステンカラーコートは同等であるとみなすのが一般的です。
独自の進化を遂げている場合も
同等ではあると上記で説明しましたが、言葉や仕草などと同様に洋服もところによって独自性を持ったデザインに変化を遂げていくものです。
例えば、バルマカーンコートの特徴と言えるラグラン袖またはラグランスリーブも、ものによっては通常肩のシルエットであったり、前身頃の閉じる部分が二重になる比翼仕立てではなくてボタンやファスナーが見えるデザインであったり、ベルトループが付いたベルト付であったりと、オリジナリティあるデザインも増えています。

バルマカーンコートとスーツの合わせ方
どんな服装にも合うバルマカーンコートを使ったコーデを紹介します。
モカバルマカーンコート×モカスーツ
モカバルマカーンコートとモカスーツの組み合わせは、モカカラーの落ち着いた色味が清潔感や信頼感が強調されるコーデです。
ダークブラウンよりもマイルドなイエローがかった色味が加わることで、適度なカジュアル感とキリッとした感じのあるバランス感の良いコーデを目指せます。スーツとアウターのカラーを統一させることで全体のコーデに馴染み、こなれ感が出ます。
ネイビーバルマカーンコート×ネイビースーツ
ネイビーバルマカーンコートとネイビースーツの組み合わせは、年代問わず着やすいコーデです。若い方ならばフレッシュで爽やかな印象になり、働き盛り世代の方ならば信頼感や知性が増す印象にしやすいでしょう。
年齢問わず使いやすいということは長年、着用できるということでもあります。バルマカーンコートはAラインなので、スラリと体型がキレイに見えるのも良いところ。ネイビーカラーならば、より着やせ効果も狙えます。
モカバルマカーンコート×パーカー×チノパン
モカバルマカーンコートとパーカーとチノパンの組み合わせは、カジュアルシーンにおすすめのコーデです。一見、ミスマッチ?とも思えるパーカーもキレイめに違和感なく馴染みます。
ベーシックで落ち着いたカラーが多いバルマカーンコートだからこそ、インナーに着るパーカーはホワイトで華やかさと清潔感をプラス。ボトムスはセンタープレスありのチノパンをチョイスすれば、大人のキレイめカジュアルコーデになります。
まとめ
今回、バルマカーンコートの特徴や歴史、メリット、ステンカラーとの違い、バルマカーンコートを使ったスーツコーデやカジュアルコーデについて詳しく解説&紹介をしてきましたがいかがでしたでしょうか。トラディショナルな装いも今ドキな装いもどちらにも使えるバルマカーンコートは使いやすく、持っていると重宝するアウターです。ベーシックなアウターだからこそ、スーツ以外のレイヤードコーデも楽しめます。今回の記事が、メンズ向け通販サイトや紳士服専門店での上手なお買い物のヒントになれば幸いです。