夏が終われば秋もあっと言う間に過ぎて木枯らしが吹く季節に。スーツの定番と言えるグレースーツやネイビースーツがより活躍する時期となります。スーツもあったかモードにチェンジして、少しでも快適なビジネスライフを送りたいですね。そこで今回は、メンズの冬スーツの特徴、春夏スーツとの違い、冬スーツの活躍時期、インナーやアウターなどについて詳しく解説&紹介をしていきます。
冬スーツの特徴は?
冬のスーツと言えば、厚手で温かみのある生地が思い浮かぶのではないでしょうか。下記にて冬スーツの特徴について順に見ていきます。
保温性がある
冬スーツの最大の特徴は、やはり“保温性”でしょう。生地で言えば、ツイードのようないかにも温かいウール生地が挙げられます。ちなみに、ツイードはウールだけでなく、ツイード調と呼ばれる羊毛素材に限らず繊維が絡んだ糸を使用して作るタイプもありますが、どちらの場合も繊維内にたくさんの空気が含める構造となっているため、効率的に保温性を得られます。
また、生地の素材だけでなく、生地自体に厚みがあることで風が通りにくくなり、体温の熱を奪われずに済みます。スーツと身体の間に暖かい空気をため込むことが可能なので、身体が冷えることなく快適に過ごしやすくなるというわけです。
深みのあるカラーが多い
冬スーツは、季節にマッチした落ち着いたカラーが多いと感じるのではないでしょうか。グレーでもダークグレー、ネイビーもダークネイビーなど、より深みのあるカラーが定番となります。
また、秋や冬らしいブラウンやカーキ、ダークグリーン、ボルドーなども魅力的です。ダークカラーに合わせてベージュやマスタードなどの暖かみを感じるカラーと組み合わせるスタイルも人気となっています。
裏地付である
冬のスーツの上着には裏地が付いているのが基本です。ジャケットも同様に裏地付きであるものが秋や冬にはおすすめとなっています。スーツやジャケットの内側全体に裏地が付いたタイプは総裏仕立てといい、保温性を高める役割以外にも汗や皮脂汚れを防いだり、着脱時の快適性を上げたり、スーツやジャケットの傷みを防げます。
裏地が付いていることでスーツの上着を脱いだ時に生地の透けもほとんどないので、第三者が見た時にも季節感ある着こなしをしていると認識しやすくなるでしょう。
また、内側全面に裏地が付くことで、裏地のデザインに凝ることもできます。記憶に新しい例では、MLBオールスターゲーム開催前に大谷翔平選手がレッドカーペットを歩いた際のスーツ裏地です。大谷選手が披露した上着の裏地には“デコピン”くんがデザインされていましたね。一般の方は大谷選手のようにはいかなくとも、ドットやチェック、ストライプなどオーダースーツの場合、チョイスすることもできます。
冬スーツと春夏のスーツとの違い
冬スーツの特徴を上記にて説明しましたが、春夏スーツとの違いは何でしょうか。違いについて具体的に挙げてみます。
裏地が異なる
冬スーツの上着には全体に裏地が付く総裏仕立てが基本だと説明しました。対して、春夏のスーツには上着内の温度や湿度の上昇を抑えるために、上着の内側全体に裏地が付かない裏地なしや、肩甲骨辺りまで裏地がある背抜き、背抜きよりもさらに裏地が少ない半裏の3つのタイプがスタンダードとなっています。
春夏スーツの上着に総裏仕立てタイプを選ぶことは全くないとは言えませんが、ポリエステル素材のような化繊だと蒸れやすくなるので、シルク素材やキュプラなどの吸湿性に優れた素材を選ぶとスーツの上着内が蒸れにくくなるでしょう。
綾織りと平織りの違い
冬スーツと春夏スーツとでは、織り方も基本的に異なります。冬スーツは保温性を高めるために経糸や緯糸を何本か浮かして織る“綾織り”が主体となり、春夏スーツは縦糸と横糸が1本ずつ規則正しく交差させる“平織り”が主体になります。織り方が違うことで生地の厚みも異なります。
春夏スーツに使われる平織りのスーツ生地は、薄手で通気性があり透け感があるのが特徴です。冬スーツに使われる綾織りは、織り目が詰まることで透け感は無く、生地に厚みが出ます。ツヤ感があってシワになりにくい特徴があります。
サラリとした質感
冬スーツの保温性とは真逆に春夏スーツはサラリとした質感が求められます。春でも急に陽射しが強くなり、汗をかきやすい気温になることがあります。夏であればなおさら汗をかきやすい状況になりますね。春夏スーツの生地には、汗をかいてもサラッとできる肌離れの良さが大事になります。
サラリとした質感という点ではコットン、リネンが王道です。化繊でも織り方や高機能性素材であれば、汗をかいたとしてもすばやく放つことができ、サラリとした質感を保ちやすくなります。
冬スーツの活躍する時期
11月も半ばとなれば、気温も20度を割り込むことが増え、地域によっては雪が降る場合もあるでしょう。そのため、春夏スーツを寒いシーズンになっても着用していることは基本無いと思いますが、冬スーツに変える時期について改めて確認しておきましょう。
気温20℃前後から
一つの目安となるのは、気温が20℃前後になってきたら冬スーツに切り替えるタイミングになります。最高気温は20℃だとしても朝晩は冷え込むので、春夏スーツから少しずつ冬スーツにチェンジしていくといいでしょう。日によって気温が上下する時期もしばらく続くので衣替えも1ヶ月くらいかけて行うと、気温に応じたスーツスタイルにしやすくなります。
気温15℃前後ならセーターをレイヤード
気温15℃となるとかなり冷え込みを感じるでしょう。じっとしていると、冷えで指先や足先も冷えてかじかむ気温です。冬スーツのインナーにニットをプラスして保温性を高めるようにすると良いでしょう。
また、下着で体温調整するのも大切です。セーターなどを着用しない場合は、トレンチコートやステンカラーコートを羽織って体温調節すると良いでしょう。
気温12℃未満からはコートも活躍
気温が12℃未満なら保温効果の高いウールやカシミヤやフリース生地などのアウターが活躍します。ビジネスシーンであれば、薄手タイプのステンカラー、チェスターコート、キルティングコートなど軽量さが魅力のアウターとニットなどを組み合わせて着こなすと、動きやすさと保温性を両立できます。
冬スーツのインナー
冬スーツだけでも寒くなる季節は、上手に下着も選ぶことがポイントです。素材や高機能性下着などについて解説します。
保温効果の高い肌着
保温効果の高い肌着といえば、天然素材であればコットンやウール、シルクなどがあります。コットンやシルクに保温性があると聞くと意外に感じるかもしれませんが、コットンには繊維の中央に空洞があり、シルクには多数の空孔という空間があることから、空気を多く含むことが可能です。ウールも繊維間に空気を多く含むことができるため、保温性が上がります。
特にシルクは優しい素材と言われており、吸湿性や放湿性にも優れている点で敏感肌の方やアトピー性皮膚炎の方にもおすすめだとされています。
高機能性肌着
身体から出る水蒸気を利用した温感加工や吸湿発熱加工裏地の高機能肌着もおすすめです。人間の肌は乾いているように見えても常に水分を放っている状態です。そのため、湿度が下がる時期になるとかゆみや乾燥を感じてボディクリームなどで保湿することも多いのではないでしょうか。
高機能性肌着はこの身体から放たれる水蒸気を利用して発熱効果を得ています。下着の繊維と身体から放たれる水蒸気がぶつかる際に熱を発することを利用しており、いらなくなった水分は速やかに蒸発できるよう設計されています。各メーカーからも販売されているので、好みや用途に合わせて肌着を選んでみましょう。
生地加工
生地加工とは、いわゆる“裏起毛”や“裏ボア”と呼ばれる、あったかい加工がされたものです。裏起毛と裏ボアの違いは、裏起毛は生地の表面をふっくらとさせるいわゆる起毛加工で、裏ボアはしっかりとした厚みのあるパイル編をカットして生地表面をモコモコとさせたものです。ボアは、ぬいぐるみを想像すると分かりやすいかもしれません。発熱素材を使用したタイプなどがあり、生地の厚みによっても暖かさが変わります。
定番&冬柄ワイシャツ
冬スーツのインナーには季節問わず平織りの“ブロード”が定番です。どのスーツにも合わせやすいので使い勝手が良いでしょう。また、コートなどの柄にもよく使われる“へリンボーン”柄は、季節感ある雰囲気に仕上がるため冬スーツのインナーとしてピッタリです。
冬スーツのアウター
本格的に寒くなったら、アウターの出番です。冬のスーツに合うアウターをチェックしてみましょう。
冬の定番はチェスターコートやステンカラーコート
冬スーツに合うアウターの素材の定番と言えば、ウール素材やカシミヤ素材が挙げられます。ショート丈のアウターは快活な印象になり、ミドル丈やロング丈は上品な印象に見えやすいでしょう。
特に、チェスターコートやロングコートは紳士的なスタイルを目指したい方にはおすすめです。色味はネイビーやグレー、ベージュを選ぶと、スーツカラーに合わせやすくなります。
ダウンジャケットはボリューム感のあるカジュアルタイプで無ければ取り入れることも可能です。スーツの上着内に着られるインナーダウンもスマートな着こなしができるのでおすすめです。
また、ステンカラーコートやトレンチコートの薄手アウターも取り外しができるライナー付であれば、保温性が上がり冬場も使いやすくなります。
【アウターなし】セーターやベスト、スリーピースやセットアップで調節
アウターは、かさばるからなるべく着用したくないという場合や、オフィスからあまり出ないからアウターは着ない派という方は、レイヤードすることで保温性を高めましょう。
高機能性保温肌着やセーターやベストを活用して防寒性を高めるようにします。冬のスーツにももちろん有効ですが、ストレッチ性やゆとりのあるシルエットが多いセットアップならば、レイヤードスタイルにも向いています。シワになりにくい素材も多く、冬場も使いやすいでしょう。
セーターやベストを着用する場合は、フォーマル時の装いとしてはややカジュアルな印象を与える可能性があるので、正式な場では控えた方が良い場合もあります。TPOに合わせた冬スーツスタイルを目指すようにしましょう。
まとめ
今回、メンズの冬スーツの特徴、春夏スーツとの違い、冬スーツの活躍時期、インナーやアウターなどについて詳しく解説&紹介をしてきましたがいかがでしたでしょうか。冬スーツの特徴を知ってインナーやアウターを工夫することで、寒い冬シーズンも快適に働きやすくなります。しっかりと寒さ対策をして、快適なビジネスライフを送るようにしてみましょう。今回の記事が、メンズ向け通販サイトや紳士服専門店での上手なお買い物のヒントになれば幸いです。