毎日着るスーツはシワなく快適に過ごしたいもの。座ったり何気ない姿勢をとったりすることでできたシワや、収納の際にできたシワなど、シワができる原因も様々です。ですが、ビジネスマンであれば、シワのないピンとした状態でスーツを着たいものですね。そこで今回は、シワができる原因やアイロンを使用したシワの取り方、シワを防止する方法、シワになりにくい素材、出先でのシワ対策、シワになりにくい畳み方などについて詳しく解説&紹介をしていきます。
スーツにシワがあるとどういう印象を与える?
そもそもスーツにシワだらけだとどんな印象になるでしょう?おそらく以下のことを多くの方が感じるはずです。
だらしない
シワクチャの服を着ているとだらしなく見えませんか?シワができるということは、洋服に対してのケアをする気持ちが無いということを言っているようなもの。社会人としての身だしなみを放棄していると思われても仕方ありません。
初対面の方に会う時や、人から注目して見られる機会がある時は特に要注意です。思わぬシワができてしまったら、すぐに改善できるように対策を講じておくことが大切です。
清潔感がダウン
だらしないと共に、清潔感はダウン。きちんと洗ってあってもシワがあることで不衛生に見られてしまうリスクが考えられます。シワは湿気によってできやすくなるので、汗をかいてできたシワのように見えてしまう場合も。梅雨時など湿度が高くなる時期は仕方ないですが、疲れた印象にならないためにも普段からシワになりにくい対策をしておきましょう。
なぜスーツにシワができるのか?
シワができる原因は色々とありますが、シワができる前提として洋服を構成する繊維の性質や織り方による構造が関係しています。
繊維の特質
コットンやリネン、シルク……スーツに使用される素材にはシワができやすい性質を持つものがあります。コットンやリネンの吸水性は広く知られるところでしょう。ウールはシワになりにくいとされていますが、完全に水を含んでしまうと膨張してシワができてしまう場合があります。
繊維の縦と横がズレる
繊維が水を含むことでなぜシワができるかというと、織物の構造が関係しています。細い繊維を使って高い密度で生地を織りあげた場合、水に濡れることで表面積が広がり繊維の縦横がズレてしまい、シワとなって見えます。
ニットを思い浮かべると、シワができにくいので分かりやすいでしょう。ニットは編み生地で布の織り生地ではありませんが、太い繊維を使用して低い密度で編んでいるニットだと、高密度で目が詰まった生地に比べてシワになりにくくなります。
アイロンを活用したスーツのシワの取り方
スーツのシワの伸ばし方はいくつかありますが、効率的なシワ取りを目指すのならば、アイロンを使ったシワ取り方法が効果的です。
アイロンを使用することで除菌やニオイ取り効果にも期待ができるため、クリーニングの回数を減らしてスーツを長持ちさせやすくなります。
スチームアイロン:シワの根本から改善
スチームアイロンは適度な重みがあり、蒸気で繊維にできたシワをしっかりと伸ばします。通常のアイロンの熱と圧を使ったアイロン掛けよりも、蒸気が加わることでついてしまったシワの部分の繊維をほぐし、フラットでシワのない状態に戻します。
アイロン台に被せて優しくアイロン掛け
アイロン台が無ければバスタオルや座布団を土台にしてスーツの上着を被せます。アイロンを持つ手と反対の手でスーツ生地を軽く引っ張りながらシワを伸ばすように優しくアイロン掛けをします。ラペル(襟)部分に圧をかけてしまうと型崩れの原因となるので、基本的に圧をかけずに優しくアイロン掛けしましょう。
パンツ(スラックス)はウエスト&ヒップからアイロン掛けをしていきます。センタープレスのラインがズレないように慎重にアイロンを当てていきます。アイロンを大きく動かすとズレの原因となるので、ハンコを押すようなイメージで行うと良いでしょう。
衣類スチーマー:蒸気で簡単ケア
ハンディタイプの衣類スチーマーが人気ですが、忙しい時もサッと使えるので便利です。出張などで利用する宿泊先でもスチーマーの貸し出しをしている場合もあります。
アイロンを浮かせて蒸気を当てる
基本的にスチーマーは浮かせて蒸気の力で繊維にできたシワをとります。上着はスチームアイロンと同様に、肩と袖の境目からスタートします。アイロンを持たない方の手は引っ張りながらシワを伸ばします。
パンツ(スラックス)は上着と同じように蒸気を当てますが、センタープレスのラインはアイロン台に乗せて少し圧を掛ける必要があります。スチームアイロンと同じくハンコを押すように慎重にプレスしていきましょう。
アイロン&スチーマーの注意点
シワ伸ばしに効果的なアイロンやスチーマーですが、以下の点に気を付けましょう。
当て布
アイロン掛けの際に当て布の表示が無くても、当て布をしてアイロン掛けをしましょう。当て布を使用しないと、生地の表面がつぶれたり熱で溶けて、生地の表面がテカテカと光るスーツ生地が傷んでしまう原因になります。ちなみに、当て布には耐熱性のあるコットン素材がおすすめです。
適切な温度設定
アイロンの温度にも気を付けましょう。コットンは耐熱性があるので180〜200度、ウールは140〜160度の中温、ナイロンなどの化繊は110〜140度程度の低温から中温が良いとされています。まずは目立ちにくい箇所で試してからアイロン掛けをすると心配いりません。
スーツにシワができにくくなる方法
「アイロンが効果的だけど面倒」という場合に、アイロンを使わずにシワを伸ばしやすくする方法を紹介します。
防シワ加工スーツを選ぶ
一般的なスーツはウールが多いものの、シワになりやすいレーヨン、コットンなどの素材を使用しているものも多いでしょう。その点、シワになりにくい素材を使用した機能スーツは手入れが簡単です。ナイロンやポリエステル素材を使用したスーツ(もしくは混紡)はシワができにくく、ストレッチ効果などもついている場合が多く見られます。
スーツをローテーション
スーツの着用回数が多ければ、身体の動かし方の癖などから同じ部分に圧がかかり、シワがつきやすい状態になります。そのため、同じスーツを着過ぎないのも良い方法です。何着かスーツを用意してローテーションして着ると良いでしょう。
着用しない時はハンガーにかける
着ていないスーツはスーツ専用ハンガーにかけて吊るしておきましょう。一時的に畳んで置いておく場合も、なるべく早くにハンガーに吊るすようにします。出張などの際は、着いたらすぐにハンガーにかけるのをおすすめします。
洗濯した場合はシワ伸ばしをしてから干す
ウォッシャブル機能がついたスーツならば自宅で気軽に洗濯できます。干す際にシワを伸ばす手間を惜しまずに行いましょう。バシバシ叩いてシワを伸ばすのはNGです。手のひらを使ってシワを伸ばすようにしてから干します。
シワになりにくいスーツ素材
防シワスーツの素材としても触れましたが、以下の素材はスーツ素材の中でもシワができにくいのでおすすめです。
化学繊維
ポリエステル、ナイロンが挙げられます。耐久性と反発性があるため、シワができにくい性質を持ちます。
混紡繊維
ウール(主に羊の毛)やモヘア(ヤギの毛)もシワができにくいですが、さらにポリエステルやナイロンとの混紡であればよりシワができにくくなります。
出先でのシワ予防方法について
スーツ着用時の予防と出張などの際にスーツを持ち運ぶ際のシワ防止方法について紹介します。
一部分に負担がかからないようにする
スーツ生地の一部分に圧力がかからないようにします。一部分に負担がかかり続けるとシワになるほか、伸びや毛羽立ちの原因になりかねません。脚を組む方や肘をテーブルにつく癖がある方は要注意です。美姿勢を意識した立ち方をすると、姿勢改善も目指せて一石二鳥です。また、荷物を持つ際は腕に引っ掛けないで手に持つようにしましょう。
ハンガーの使用
ハンガーはハンガーでもスーツ専用の肩まわりに厚みがあるハンガーを使うようにすると、ハンガーの端のラインがつく心配もありません。生活用品専門ショップやネット通販サイト、100円ショップなどで手軽に購入できます。
シワ取りスプレーの活用
シワ取りができて防臭効果があるスプレーなどが数多く売られています。携帯用のハンディタイプも売られているので、出先でも気軽にケアが可能です。
【宿泊時】浴室に干す
出張などで宿泊する際は、シャワー後の浴室の蒸気を使ったシワ取りも効果的です。シャワー後は高温多湿な環境なので、シワが伸ばしやすくなります。ニオイ取りにも効果的です。
【宿泊時】タオルを入れる
スーツ専用ハンガーを携帯しなくても宿泊先のホテルに置いてあるタオルをハンガーの肩部分に掛けるとタオルの厚みでシワ防止と肩の丸みをキープしやすくなります。また、スーツを持ち運ぶ際もタオルをスーツの内側に詰めておくと、シワ防止になります。
【宿泊時】スチームアイロン&ズボンプレッサーレンタル
宿泊先にスチームアイロンやスチーマー、ズボンプレッサーの貸し出しをしている場合があります。自分できちんとしたスーツのケアをしたい場合に有効な手段です。
スーツのシワになりにくい畳み方
スーツの持ち運び時に役立つ、スーツにシワができにくい畳み方について紹介します。
上着
襟を立ててラペル(襟)を合わせるように持ち、内側同士を合わせます。この時に片側の肩をもう1つの肩部分に入れ込むと、肩のラインが崩れにくくなります。そのまま上着の裾まで優しく撫でるように前身頃を縦半分に折り畳み、縦方向にも半分に畳めば完成です。
パンツ(スラックス)
パンツ(スラックス)はセンターラインをキープしながら裾を持って縦半分に織ります。さらに織ると持ち運びしやすくなります。この時、タオルや上着を挟みこんでおくとシワができにくくなります。
まとめ
今回、シワができる原因や、アイロンを使用したシワの取り方、シワを防止する方法、シワになりにくい素材、出先でのシワ対策、シワになりにくい畳み方などについて詳しく解説&紹介をしてきましたがいかがでしたでしょうか。シワを効果的に取る方法やシワの予防方法を知ることでビシッとしたスーツスタイルを保ちやすくなります。シワに悩まされないスーツスタイルを目指しましょう。今回の記事が、メンズ向け通販サイトや紳士服専門店での上手なお買い物のヒントになれば幸いです。