スーツやジャケットの袖ボタンの数を気にしたことがありますか?スーツやジャケットには前ボタンの一番下を留めないアンボタンマナーも存在することから、袖ボタンのルールについて気になっている方もいるかもしれません。また、袖ボタンの数に種類があることで、ビジネスシーンでどういったものを選べばいいか迷ってしまう方もいるでしょう。そこで今回は、袖ボタンの由来や取り付け位置、数、サイズ、素材などについて詳しく解説&紹介をしていきます。
袖ボタンの由来
袖にボタンが付けられるようになった由来は2つあると言われており、なかなかユニークな諸説となっています。
由来1.袖口で鼻水をぬぐうのを阻止する
1812年にナポレオンはロシア遠征を行いました。ロシアはとても寒い地域です。兵士達は体調を崩し、鼻水が出る者が続出します。兵士達は流れ出る鼻水を袖口でぬぐっていたことから、ロシア兵に体調不良を悟られては不利になると、ナポレオンが袖口にボタンを取り付けさせて鼻をぬぐえないようにしたという説があります。
由来2.ジャケットを脱がずに治療する
かつてジャケットを脱いでいる姿は、相手に失礼な態度とされていました。そのため、医師は治療の際にもジャケットを着用しておらねばならず、不便さから袖をまくり上げるために袖口が開くデザインにし、ボタンで開け閉めができるようにしたという説です。効率性よりも礼儀にこだわる点もなかなかユニークです。
スーツの袖にあるボタンの意味
現在もスーツの袖にボタンが取り付けられている意味とはなんでしょうか。1つはスーツ袖口の仕様によってボタン本来の機能である開け閉めができるように取り付けられていることが挙げられます。もう1つは袖口にボタンを付けることで、“飾り”としての役割のためにボタンが袖口に取り付けられているのが理由となっています。
スーツの袖ボタン位置と袖の仕様
袖口のボタンは袖の仕様によって役割や位置が異なります。スーツの袖の仕様とボタン位置の関係について説明します。
本切羽(ほんせっぱ):実際に開け閉めができる仕様
本切羽は、袖口が開閉できるように作られた袖の形です。ボタンが付いていることで開け閉めが可能です。袖口の開閉がしやすいように考えられた位置にボタンが取り付けられています。
開き見せ:開け閉めできないフェイク仕様
開き見せの場合は、実際に開け閉めができないのでボタンホールの位置なども気にする必要がなく、ボタンの取り付け位置を自由に設定できます。そのため、袖の長さを調整したい場合に便利です。
スーツの袖ボタンの数
袖ボタンは、現在では装飾の意味で付けられている場合が多いため、ボタン数の意味についてあまり気にすることはありませんが、袖ボタンの数には本来は意味があります。ボタン数による印象の変化と合わせて詳しく見ていきましょう。
袖にボタンがないタイプはオフ向け
袖にボタンがないタイプは、女性用スーツに良く見られます。また、スーツ販売店などでは、ボタンの位置を調整したい場合に備えて、あえてボタンを取り付けずに売られている場合もあります。袖にボタンがないことでカジュアルなイメージになります。
袖ボタンの数が2個のスーツはカジュアルな印象
袖ボタンの数が2個のスーツは、袖にボタンがないタイプと同様にカジュアルな印象になるので、ビジネスよりプライベートシーンで活躍させやすいタイプです。袖口のボリュームが抑えられていることで活動的なイメージになります。
袖ボタンの数が3個か4個のスーツは基本スタイル
袖ボタンの数が3個か4個のスーツは、スーツの定番スタイルとなっています。イングランドやイタリアでは袖ボタンが4個、スコットランドであれば袖ボタンが3個というように古くから出身地域や、代々ジャケットを受け継ぐ風習があったことからボタンの数が4個もしくは3個とされてきたためです。
クラシカルなスーツジャケットであるほど袖ボタンは4つが定番だとされており、現在のスーツも3個か4個が主流となっています。
袖ボタンの数が5個のスーツはこだわりのアクセントに
袖ボタンの数が5個のスーツは、袖元にボリュームが出るため主張あるイメージになります。通常、袖ボタンが5個のタイプのスーツは、オーダーメイドで依頼することが多いでしょう。重厚感を出したいなど、こだわりあるスーツスタイルにおすすめです。
スーツの袖ボタンのサイズ
袖ボタンのサイズは、一般的に15ミリタイプが使用されます。スーツの前ボタンは、20ミリの大きさのボタンを使用しており、前ボタンと袖口ボタンのバランスが丁度良く見えるようにデザインされています。また、袖口に少し小さ目のボタンを使用することで引っ掛かりにくい利便性もあります。
スーツの袖ボタンの並び方
袖ボタンの並び方には「並べボタン」と、重ねて並べた「重ねボタン」の2種類があります。ボタンの並び方でも袖元の印象は変わってきます。
並べボタン:ビジネススタイルにおすすめ
並べボタンは、スッキリとした印象で主張感がなく、ビジネススタイルやフォーマルシーンのいずれの場合にも使いやすいボタンの付け方です。
重ねボタン:華やかな印象に
重ねボタンは、ボタン同士が重ねられたようにボタンを取り付けることで、袖元のボリュームが出て華やかな印象になります。イタリア職人のこだわりある仕様として広まったことから、イタリアスーツに多く見られる仕様です。
スーツの袖ボタンの素材種類
スーツの袖ボタンの素材種類には、多くの素材が使用されていますが代表的な素材は大きく分けて4つです。ボタンの素材を選ぶことで手元にオシャレ感を出しやすくなります。
水牛ボタン:最高級の天然素材
水牛ボタンは、水牛の角を削り作ったボタンです。非常に固い素材なので丈夫で耐久性に優れます。また、天然素材であるため独特な柄が特徴で、スーツ生地に使われることが多い天然のウール素材との相性も良いと言えます。変色しづらいのも魅力です。
貝ボタン:虹色の光沢などツヤ感が魅力の高級品
貝ボタンは、貝の種類によってもカラーが異なりますが、虹色の輝きなど貝独自の繊細なツヤ感を楽しめるのが特徴です。エレガントな印象にしやすいでしょう。貝の種類によってもボタンの厚みが変わるため強度も変わってきますが、熱に弱いので乾燥機は避けます。
ナットボタン:ヤシの実を原料にした丈夫なボタン
ナットボタンは、南米エクアドルを産地とするタグワヤシの実を使用して作られています。“象牙椰子”とも呼ばれており、加工するとまるで象牙のような輝きが得られるのが特徴です。非常に固い素材なので耐久性もあり扱いやすい特徴があります。
ポリエステルボタン:安価で丈夫
ポリエステルボタンは、多くのスーツに使われる素材のボタンです。様々なカラーや形に加工しやすく丈夫なので、好みに合わせたボタン選びをしたい時にもおすすめです。洗濯時の洗剤などによる変色や劣化も起きにくく非常に使いやすい素材と言えます。
スーツの袖のボタンが割れてしまった場合
気を使ってスーツを着ていたつもりでも袖口はテーブルに手をついたりすることが多い箇所なので、割れてしまう場合も考えられます。ボタンが割れてしまった場合の対処方法についていくつかの方法を紹介します。
対処方法1.予備ボタンを使って補修
洋服を購入した際に多くの場合は、予備のボタンが付いていることが多いでしょう。きちんと保管しておくと、いざという時に困りません。ボタンのストック箱などを作っておくと、買ったスーツのボタンを探す手間がかかりません。
対処方法2.スーツ購入店に確認する
スーツ専門店などでスーツを購入した場合は、使用しているボタンのメーカーに問い合わせてもらえる可能性があります。メーカーによってはボタンの予備を用意している場合も考えられ、探しているボタンが簡単に手に入ることもあります。
対処方法3.スーツの袖ボタンを思い切って総取り替え
袖に使用しているボタンが天然素材でどうしても同じようなボタンが見つからない時は、思いきって全部のボタンを替えてしまうという方法もあります。新しいボタンを付けることで、新しいスーツに腕を通すような気分を楽しめるでしょう。
まとめ
今回、袖ボタンの由来や取り付け位置、数、サイズ、素材などについて詳しく解説&紹介をしてきましたがいかがでしたでしょうか。袖ボタンの数や位置や素材などを知ることで、袖元のオシャレを意識したスーツやジャケットの選び方がしやすくなるのではないでしょうか。袖元にアクセントを置きたい時は、ぜひ袖ボタンの数や素材などにこだわってみて下さい。今回の記事が、メンズ向け通販サイトや紳士服専門店での上手なお買い物のヒントになれば幸いです。