汗ばむ季節がやってくると、少しでも快適な着心地のよい素材のシャツやジャケット&パンツ、セットアップ、インナーなどを選びたくなるでしょう。春夏におすすめの素材の中でもリネンは、シャリっとした質感で使いこむうちに独特な風合いが得られるのが魅力。リネンは厚みや色で印象も異なってくるので、メンズのオシャレにもおすすめです。そこで今回は、リネンの歴史や麻との違い、種類、特徴、リネンを使ったアイテムのおすすめコーデ、洗濯方法などについて詳しく解説&紹介していきます。
リネン生地とは
見た目も涼やかでコーデのポイントとなるリネンは、コンサバティブになり過ぎないので、カジュアルコーデからラフなキレイ目コーデまで使いやすい素材です。リネンの歴史や麻との違いについて見ていきましょう。
リネンの歴史 紀元前から使用されてきた生地
リネンの歴史は非常に古く、驚くことに発祥は紀元前と言われています。“人類最古の繊維”と呼ばれ、古代エジプトではミイラ作りに使用されるなど、神聖なものとして認識されていました。
古代ギリシャにおいては布を身体に巻き付けて着用していたと記される記述も見つかっており、上流階級のものから一般階級まで幅広く使用するものとして浸透してきた経緯が分かります。現在では、リネンは至るところで栽培される身近な天然素材となっています。
リネンは麻の一種
リネンとは何?と思われる方もいるでしょう。リネンは麻の一種です。麻には種類が20種類ほどあり、繊維の特徴によって洋服以外にもカーペットや麻袋、ロープなどに使用されています。
衣類に使われるのは“リネン”や“ラミー”が中心で、靴には“ジュート”という種類も使用されています。また、最近はリネンが短期間で育ち、化学肥料なども必要がないことから環境に配慮した素材という点でも、有名ブランドが積極的に取り入れる素材として注目されています。
リネンの種類
“リネン”には産地やほかの素材と組み合わせて、種類がいくつか存在します。その中でも代表的なリネンとして知られる4つのリネンについて紹介します。
アイリッシュリネン
アイリッシュリネンは、名前の通りアイルランド産の麻を使用して作られています。繊維が細いため、やわらかく肌ざわりが良いといった質感を得られるのが特徴です。リネンの中でも高い品質で知られ、衣類のほか、シーツやテーブルクロス、バッグなど様々なものに使用されています。発散性や摩擦に強いのも魅力です。
フレンチリネン
フレンチリネンは、フランス北部を産地とする麻を使用して作られています。豊富な水と涼しい気候が生地に適度なハリ感を生み、着るほどに身体になじんでいくのがポイントです。上質なツヤ感と快適な着心地が得られる最高級品のリネンとされています。
コットンリネン
コットンリネンは、リネンとコットンを組み合わせて作られています。リネンは通気性に優れ、コットンは吸水性に優れることから両方のメリットを組み合わせたハイブリッドなリネンと言えるでしょう。肌ざわりが良く、赤ちゃんの衣類にも使用されているので、敏感肌の方にもオススメです。縮みにくく型崩れしにくいのも良い点です。
ストレッチリネン
ストレッチリネンは、リネンとポリウレタンを組み合わせて作られています。ポリウレタンには伸縮性があるので、パンツなどのボトムスに使われることが多い種類のリネンです。暑い日も肌にベタつきにくく、涼しく過ごしやすいでしょう。
リネンの特徴
ここで改めて、リネンの特徴について解説していきます。リネンと言うと、“涼しい”、“丈夫”、“シワになる”といったイメージがあるかと思いますが、リネンには前述したとおり種類などによっても特徴が異なってきます。そのため、特徴を活かした取り入れ方をすればシーンに合った味わいある着こなしを目指すことも可能です。
特徴1.吸水性に優れる
リネンは、吸水性に優れており発散性もあります。そのため、汗をかいてもすぐに汗を吸収して空気に放つことができるので、サラリとした質感を維持しやすくなります。
特徴2. 丈夫で長持ちする
リネンの特徴の2つ目は、耐久性が挙げられます。丈夫なので洗濯を繰り返ししても生地が傷みにくく、長持ちしやすくなります。リネン自体、水に濡れることで強度が増す性質があるので、生地表面の毛羽立ちが起きにくくなります。
特徴3.通気性と保温性の両方を兼ね備えている
リネンの特徴の3つ目は、通気性と保温性がある点です。リネン繊維には内部に空洞部があることで暑い時には熱を逃がし、寒い時には熱を保温するといったバランスの良い特徴が得られます。
メンズにおすすめのリネンアイテム
ここからはメンズにおすすめのリネンアイテムを使ったコーデについて紹介していきます。
リネンジャケット
リネンジャケットを取り入れると、汗ばむ季節も重い印象にならず、トラッド感あるオシャレなジャケットスタイルもサラリと着こなしやすくなります。ネイビーやグレー、ブラウン、ベージュなど組み合わせやすいカラーを選ぶと、レイヤードしたインナーとケンカせず取り入れやすいでしょう。
リネンパンツ
ブラックやグレーなど暗いカラーが多くなりがちなボトムスにリネン素材のパンツを取り入れれば、涼し気でリラックス感のある着こなしを目指せます。タックありタイプやセンタープレスの折り目付きタイプのパンツを選ぶと、ビジネスシーンにも取り入れやすくなります。
リネンシャツ
リネンシャツはジャケットのインナーとしてや、1枚でも着られる便利なアイテムです。目のいきやすいトップスにリネン素材を取り入れれば、季節感ある着こなしが簡単に目指せます。カジュアルなイエローやブルーのほかにもカーキ、ネイビーなどカラーも豊富なのでコーデに合わせて選べます。
リネンセットアップ
リネンセットアップは、素材のやさしい風合いを活かしたベージュを選ぶと、リネン素材初心者の方も取り入れやすくおすすめです。上下で合わせて着用することで、やわらかい印象でありながら、きちんとした印象の着こなしを目指せます。夏のカジュアルダウンにもピッタリです。
リネンの洗濯方法について
リネンは耐久性があり洗濯してもヘタリにくいところが魅力ですが、シワになりやすいといった点もあります。リネンの洗濯について注意点と正しい洗濯方法について解説していきます。
リネンの注意点1.洗濯前に洗濯ラベルを確認しておく
大抵のものは自宅で洗うことができますが、アイテムによっては家で洗うのが難しい場合もあるでしょう。また、洗濯機ではなく手洗いが良い場合もあります。縮みなどの失敗につながらないように、まずは洗濯ラベルを見て自宅で洗えるかなどを確認しましょう。
リネンの注意点2.物によって分け洗いする
ワイシャツの襟や袖などに使う強い洗浄効果のある部分用洗剤がついたアイテムとリネンアイテムを一緒に洗ってしまうと、リネンアイテムが傷んでしまうリスクが考えられます。その際は、あらかじめリネン製品と通常の洗濯アイテムを分けておくと、ダメージの心配がありません。
リネンの注意点3.熱湯で洗わない
熱湯に入れて煮沸などはNGです。水か30〜50℃程度のぬるま湯を使用して洗濯します。熱湯にリネンを入れてしまうと、色あせや縮みの原因になるのでやめましょう。
【リネンの洗濯手順1】洗濯ネットに入れる
リネンのみならず洗濯する際は、洗濯ネットに入れて洗うと衣類の絡みや擦れから防ぎやすくなります。洗濯ネットに入れる際は、くしゃくしゃに入れずに折り畳んで入れましょう。
【リネンの洗濯手順2】洗剤は中性洗剤を使用する
いわゆる“おしゃれ着洗い用洗剤”です。アルカリ性の洗剤よりも生地に対する刺激が少なく色抜けなどのダメージを防ぎやすくなります。
【リネンの洗濯手順3】脱水はきわめて短時間で
洗濯の際にリネンアイテムにシワができるのは脱水時間にあります。洗濯機のモードによって呼び名は変わりますが、“おしゃれ着洗いコース”や“デリケート洗いコース”などをあらかじめ選んで洗うと、脱水時間も短時間の設定になっているので、脱水し過ぎる心配がいりません。
【リネンの洗濯手順4】脱水後は速やかに陰干しする
脱水したらシワができる前に速やかに洗濯機から取り出し、干す前に折りシワを伸ばして日陰で干します。太陽光に直接当ててしまうと、色あせや黄ばみの原因になってしまうので注意が必要です。また、ハンガーは厚みのあるタイプを使用すると、干しシワがつくのを防ぎやすくなります。
【リネンの洗濯手順5】シワが気になる場合はアイロンをかけてもOK
リネンの風合いを楽しむならばアイロンをかけないで着用するのがイチバンですが、畳んで収納している場合などは折りシワが気になる場合もあります。そんな時はアイロンでシワを伸ばして改善するのもおすすめです。
アイロンかけをする際は、霧吹きやスチーム機能を使用してアイロンかけをしましょう。無理やりアイロンの熱でシワを伸ばそうとすると生地を傷めてしまいます。
【リネンの保管の方法】吊るして保管がベスト
保管はハンガーにかけて吊るしておくのが一番です。畳んで保管する場合は、大き目に畳んだり時々折り目を変えて畳み直したりすると、折り目にスジが出るのを防ぎやすくなります。また、直射日光の当たる場所で保管しないようにしましょう。
まとめ
今回、リネンの歴史や麻との違い、種類、特徴、リネンを使ったアイテムのおすすめコーデ、洗濯方法などについて詳しく解説&紹介をしてきましたがいかがでしたでしょうか。リネンは春夏の定番素材ですが、マンネリしがちな着こなしも素材感を活かしたこなれたスタイリングを楽しむことができます。ぜひ、春夏のコーデにリネン素材を取り入れてみてはいかがでしょうか。今回の記事が、メンズ向け通販サイトや紳士服専門店での上手なお買い物のヒントになれば幸いです。