“ドレスシャツ”というとドレスという響きからフォーマルファッショに合わせるシャツのように感じられるかもしれませんが、フォーマルシーンだけでなくビジネスシーンやカジュアルシーンまで幅広く取り入れやすいのをご存知でしょうか。生地の種類や襟の形が豊富にあるため、様々なシーンに合わせた着こなしコーデもしやすく、数枚は持っていたいウェアアイテムです。そこで今回は、ドレスシャツの歴史からカジュアルシャツなどとの違い・生地の種類・襟の種類などについて詳しく解説&紹介をしていきます。
ドレスシャツとは
ドレスシャツとは、簡単に言うとフォーマルからビジネスシーンに使える万能なシャツです。スーツやジャケットのインナーとしての使い方だけではなく、1枚で着用した時もサマになる上品さが魅力です。
白色・ホワイトのシンプルなものから、襟のデザインに工夫が凝らされたドレッシーな雰囲気のシャツなど種類も豊富です。近頃はドレスシャツをプライベートシーンのキレイ目コーデにも取り入れられるなど人気です。
ドレスシャツの歴史&由来
ドレスシャツの歴史&由来は、人々が衣服を身に付けて生活するようになってから身近なウェアアイテムとして存在してきました。
ドレスシャツのルーツはローマ時代のチュニック
ドレスシャツの起源は、古代ローマ時代に遡ると言われています。上からスッポリと被るシンプルなシルエットのチュニックが由来とされており、時代を経るごとに身体にフィットした裁断&縫製がされ進化していきました。1900年以降になると、アイビールックでオックスフォード生地やボタンダウン仕様が世界でもトレンドとなり、日本でも幅広く浸透していきました。
現在では、ビジネスシーンからカジュアルシーンまでシーン問わず、様々な年齢の方が愛用するシャツとして愛用されています。
ドレスシャツに白色・ホワイトが多い2つの理由
ドレスシャツには白色・ホワイトが多く販売されていることから、白色・ホワイトシャツのことをドレスシャツとして示すのではと、思われている方もいるかもしれません。なぜ、白色・ホワイトが多いのかについては以下の理由が挙げられます。
シャツはかつて下着だった
シャツは、かつて下着として扱われていました。そのため、1枚自体で着用することはなく、ベストと組み合わせて着用することが常識でした。ベストのカラーに関係なく合わせやすいカラーであるということや、人に見せる前提ではない下着をわざわざ染色する必要性が無かったというのも理由として考えられます。
白色・ホワイトをキープできるのは経済力の判断基準とされた
白色・ホワイトを維持するためには、小まめな洗濯が必要となります。洗濯をするためには、身だしなみを整える生活基盤が必要です。そのため、白色・ホワイトの状態をキープできるということは、生活レベルを表す象徴でもあったわけです。常に白色・ホワイトのシャツを着用していることは、信頼される証でもありました。
ドレスシャツとワイシャツ・カジュアルシャツの違いとは
幅広いシーンでドレスシャツが使えるならば、ワイシャツとカジュアルシャツは全く同じものなのかというと、作られた目的によってシルエットが異なるなどの違いがあります。
ワイシャツとの違いは基本的にはなし
ドレスシャツとワイシャツは呼び方が異なるだけで、基本的には同じです。日本でいう“ワイシャツ”は、英語圏では“ドレスシャツ”と呼ばれています。フォーマルにも使えるキレイ目なシャツであればドレスシャツということになります。ちなみにビジネスシャツは、“カッターシャツ”とも呼ばれており、ストライプのような柄物やカラフルな色彩な物も含まれます。
カジュアルシャツとはシルエットが異なる
カジュアルシャツと異なる点は、ドレスシャツに比べて着丈が短い場合が多く、タックインしない着用を想定したシルエットになっています。また、ネクタイをするための襟の立ち上がり部分である台襟の高さが低いことも多く、ラフな印象が強くなります。
ドレスシャツの代表的な生地の種類
ドレスシャツは、素材が同じでも織り方によって生地の表情が異なってくるため、着用した時の印象も変わります。定番のドレスシャツの生地や季節に合った機能的な生地を紹介していきます。
定番のブロード
ブロードは、経糸と緯糸を交互に折り込んだ平織りでつくられた生地で、生地の目が均一でツヤ感があります。柔らかい肌ざわりでありながら耐久性もあり、ストールやドレス・パジャマなど様々なアイテムに使われています。コットンやポリエステル・シルク素材など素材の種類も豊富で結婚式などフォーマルな場にも向いた生地です。
通気性抜群のオックスフォード
オックスフォードは、ボタンダウン仕様のシャツと相性が良いため、トラッドスタイルを好む方にもおすすめです。厚みがある生地でハリ感があり、1枚で着用した時も身体のラインをキレイに見せられます。カジュアルシーンにも合う生地です。
ツヤ感があるロイヤルオックスフォード
ロイヤルオックスフォードは、オックスフォードよりも細い糸を使用して織られているため、表面の目が細かくツヤ感があります。上品なイメージにしやすく、ビジネスシーンにも取り入れやすい生地となっています。
斜めの織り柄が特徴のツイル
ツイルは、経糸を数本ずつ横糸に織る綾織りでつくられた斜めに織り目が出る生地で、柔らかい手触りが特徴です。ハリがあるのでシワになりにくくツヤ感があるので、フォーマルからカジュアルなスタイルまで対応しやすい生地です。
凸凹や光沢感があるドビー
ドビーは、平織り&綾織りをベースに細かい模様を加えた生地です。見た目の装飾性の高さからフォーマルなシーンでも取り入れやすいでしょう。通気性や吸水性にも優れ、サラリとした質感が特徴です。
上品で耐久性があるヘリンボーン
ヘリンボーンは、斜めに上がるラインが交互に並んでいる生地表面が特徴の綾織りの生地です。適度な厚みがあるのでシワになりにくく、耐久性にも優れます。上品な印象で、1枚で着用した時にも高級感のある華やかな印象になります。
ストレッチ性&防シワ性に優れたシアサッカー
シアサッカーは、平織りでつくられた生地で日本では“しじま織り”とも呼ばれています。独特の凹凸感により肌と接地する面積が少ないため、蒸し暑い時期も爽やかに着用できます。見た目も涼し気に見えて春夏素材として人気です。ビジカジスタイルとの相性も良くおすすめです。
天然素材を使用したリネンシャツ
リネンは、平織りでつくられているため丈夫です。通気性と速乾性に優れており、速乾性はコットンの4倍とも言われています。夏の洋服の生地としても定番で、見た目的にも清涼感があり、シーツやハンカチ・スーツなどの素材としても使用されています。
ドレスシャツの襟種類
ドレスシャツの生地以外にも襟のシルエットによってシーンに合わせた着こなしがしやすくなります。襟のシルエットについて順番に見ていきましょう。
レギュラーカラー
レギュラーカラーは、ドレスシャツの定番です。スタンダードなシルエットで、襟の開きは75〜90度と狭めです。そのため、真面目できちんと感が出しやすい襟の形となっています。ビジネスシーンからカジュアルシーン、冠婚葬祭の際まで幅広く使えます。
セミワイドカラー
セミワイドカラーは、襟の開きが100度程度でレギュラーとワイドカラーの中間にあたる襟の形です。スーツに合わせやすく、Vゾーンがキレイに見えるメリットがあります。近年、レギュラーカラーよりも好まれる傾向にあり、レギュラーカラー以外の襟にチャレンジしてみたい方におすすめのカラーとなっています。結婚式などのフォーマルシーンにもおすすめです。
ワイドカラー
ワイドカラーは、襟の開きが100〜120度と広く、首回りをスッキリとして見せられます。故エリザベス女王の伯父にあたるウィンザー公が好んで着たことから、イギリスでは浸透した襟のシルエットとなっています。クラシカルな雰囲気にしたい時におすすめのカラーです。セミワイドカラーと並んで人気のあるカラーです。ワイドカラーと同じく、結婚式などのフォーマルシーンにもおすすめです。
カッタウェイ
カッタウェイは、ワイドカラーよりも広く180度以上開いた襟のシルエットが特徴です。ノーネクタイの場合でもボタンを外した時に横に広がってだらしなくなりにくいため、キレイなVゾーンを維持しやすくなります。プライベートシーンにも取り入れやすいシルエットのカラーです。
ホリゾンタルカラー
ホリゾンタルカラーは、ワイドカラーよりも広く開いた140〜180度の襟が特徴です。ほぼ水平に近いシルエットで、ネクタイの結び目もキレイに見せられます。開きが大きいため、幅の太いネクタイとの相性が良いでしょう。ノーネクタイ時のビジカジスタイルにもおすすめのカラーです。
ウイングカラー
ウイングカラーは、襟の先が翼のように立ち上がっていることから名づけられたカラーで、首元を覆った肌の露出が少ないシルエットであることからフォーマルな印象になります。結婚式やパーティーなどで着用されるタキシード・モーニングなどとの相性がよく、蝶ネクタイを合わせた時に非常にバランスが良いカラーです。
ボタンダウンカラー
ボタンダウンカラーは、襟先にボタンホールが付いており、前身頃に縫い付けられたボタンに留めて着る仕様となっています。ボタンを外して着た時に襟の形がキープしやすく、クールビスにピッタリのカラーです。アメリカンスタイルにマッチしたカラーでもあり、プライベートシーンに取り入れやすいでしょう。
ラウンドカラー
ラウンドカラーは、襟先の角が丸みを帯びたシルエットで、リラックスした柔らかな雰囲気になります。1900年以前から英国貴族に好まれて着用されていた歴史を持ち、現在でも名門パブリックスクールの制服として採用されているなど、伝統的なカラーのシルエットでもあります。プライベートシーンに活躍させられやすいカラーです。
クレリック
クレリックは、襟が白色・ホワイトで前身頃は青色・ブルーやストライプなど柄やカラーを使ったシャツです。袖口が白色・ホワイトで統一されたタイプもあります。襟のシルエットはボタンダウンやワイドなどの種類がありますが、襟と袖口が白色・ホワイトのものは総称としてクレリックと呼ばれています。1枚で着用した時も華やかな印象になるほか、ワイドカラータイプならばキレイ目な印象も得られます。
まとめ
今回、ドレスシャツの歴史や由来・ドレスシャツとカジュアルシャツなどとの違い・ドレスシャツ生地の種類・ドレスシャツの襟種類などについて詳しく解説&紹介をしてきましたがいかがでしたでしょうか。ドレスシャツはスーツやジャケットのインナーとして活躍するだけでなく、生地や襟の形選びから1枚で着た時もサマになる優れたウェアアイテムです。ぜひ、メンズ向け通販サイトや紳士服専門店でドレスシャツを買い物する際の参考にしてみて下さい。今回の記事がドレスシャツ選びの参考になれば幸いです。