近年“紺ブレ”が人気となっていますが、紺ブレと聞いてどの程度ブレザーについて知っているでしょうか。ちなみに、紺ブレはいわゆる紺色・ネイビーのブレザーのことで、学生服やトラッドスタイルコーデのアイテムとして使われるなど幅広い世代で愛されています。ブレザーを上手に活用することでいつもと違った着こなしを目指せる魅力を持つブレザーについて今回は、ブレザーの起源から特徴・スーツとの違い・手入れの仕方などについて詳しく解説&説明をしていきます。
ブレザーの起源
ブレザーの起源については、「ダブル」と「シングル」のシルエットによって起源は2つあるとされています。それぞれの由来について順に見ていきましょう。
威厳漂う軍服がルーツの「ダブル」
ダブルは、イギリス海軍の軍服として採用されていたシルエットのウェアで、海上での作業は風が強く吹くことがあることから、防寒しやすいように前身頃の重なりを作ってどの方向から風が吹いても対応できるように生み出されたデザインです。前身頃が重なっていることにより、重厚感や威厳が出しやすいのが特徴です。
大学生競技がルーツの「シングル」
シングルは、ケンブリッジ大学の31あるカレッジの1つであるセントジョーンズ校のボートクラブのオリジナルウェアが由来となっています。クラブチームのテーマカラーである“赤”を着用することにより、所属する大学を応援するという意味から学生達によって熱い支持をされました。
現在でも大学によって、刺繍エンブレム入りパーカーやトレーナーなどが大学オリジナルのグッズとして販売されているのを見かけることがあるでしょう。
日本で広まったのは「アイビールック」がきっかけ
日本でブレザーが定着するようになったきっかけは、1960年代アメリカのカルチャーが盛んに入ってきていた背景が影響しています。当時は学生運動や安保闘争などが盛んに行われており、高度経済成長期も相まって主張ある服装などが好まれるようになりました。
長らく定番であった詰襟とセーラー服だけでなく、アメリカのトラッドスタイルである「アイビールック」を象徴するブレザーなどが登場することで、制服の自由度も広がっていったのです。
ブレザーが広まった要因
ブレザーが広まる要因として挙げられるのは、制服として取り入れられたことが大きく関係しています。
学生ブレザー
学生服としてのブレザーは、男女関係なく共通のデザインにできる利点などから多くの学校で採用されています。ポケットが付いており機能性に優れることや、着脱が楽に行えることに加えて学生らしい清楚さなどが感じられる着こなしができるのも制服として採用されるポイントとなっています。
審判ブレザー
審判が着用するブレザーは、スポーツ競技会などで審判者が身に付ける制服として馴染み深いでしょう。格式あるデザインで信頼性が得られやすく、審判をする側にとっても気を引き締められるといった利点があります。
日本野球機構(NPB)でも球審用ジャケットとして取り入れられており、開幕戦や日本シリーズ・オールスター戦などで着用を義務付ける方針が定められたほどです。
ブレザーの特徴
次にブレザーの特徴について細かくチェックしていきましょう。
ブレザーの胸ポケット
胸ポケットは、実は軍服の名残を残すものです。左胸に鉄板を入れることにより、致命的な傷を受けないようにするために考えられた仕様でした。現在では、刺繍エンブレムが付けられているなど、デザイン性を高める役割を持ちます。学校によってはビジネスシーンだけでなく、ポケットチーフを入れたデザインを制服に取り入れられたりもしています。
ブレザーの紋章/刺繍エンブレム
紋章/刺繍エンブレムは、学校の制服の場合は所属を表すものとして広く取り入れられています。ビジネスシーンでブレザーを着用する場合は、紋章/刺繍エンブレムなどでは付いていないタイプを使用するのが基本です。紋章/刺繍エンブレム付きブレザーは、カジュアルシーンで取り入れると着こなしのポイントとすることもできます。
ブレザーのボタン
ボタンは、金やメタルなどボタンに特徴性を持たせているのがブレザーの特徴とも言えるでしょう。前身頃の仕様によってダブルであれば8つ付いた豪華なタイプや6つ付いたタイプ、シングルであれば3つ付いたタイプや2つ付いたスタンダードなタイプなどが見られます。
袖部分にもボタンが3つ付いたタイプなどもあり、ボタンに学校の紋章や洋服メーカーのロゴなどがデザインされていることが多いでしょう。金やメタルを使用していない足無しのシンプルなボタンなどもあります。
ブレザーの生地
生地は、ブレザーを羽織る季節に合わせて作られたフランネル生地が定番です。フランネルは、平織や綾織のウールを素材であることから保温性に優れています。秋や冬に合った素材と言えるでしょう。季節によって定番のフランネルのほかにも、麻(リネン)やコットンなどの天然繊維や、レーヨンやポリエステルなどの化学繊維も取り入れるとより活用しやすいでしょう。
ブレザーの襟
襟は、上襟と下襟のスーツのシルエットと基本的に同じつくりです。制服であれば襟部分にラインが入ったタイプなども見られます。ビジネスシーンの場合は、襟の端にステッチという縫い目が入れられたデザインもあります。
ステッチがあることで、襟の内部にある芯地を縫い付けて襟の形をキープしやすいといった点や、デザイン性を高められるといったメリットが得られます。
ブレザーの色・カラー
ブレザーの色は、学生であれば紺色・ネイビー、ビジネスシーンに取り入れやすいカラーは紺色・ネイビーの他に黒色・ブラックなどのカラーが定番となります。シンプルなカラーであればスラックスとの組み合わせもしやすく、使い回し度も高くなります。
ブレザーのポケット
ポケットは、フタ付きとフタ無しの2タイプがあります。フタがある場合は、雨などが入り込まないようにできるのが利点です。雨に濡れる可能性がある屋外ではフタを出し、室内ではしまうのが着こなしのセオリーとなっています。
ブレザーのシルエット
シルエットは、ウエストを絞ったデザインとウエストで絞らないストレートシルエットの2つが主にあります。ウエストラインのシェイプ感と胸まわりにゆとりを持たせたバランスの良いタイプなど、ブランドによってシルエットも異なります。シェイプ無しタイプは、リラックス感や軽快感などを活かした着こなしがしやすいでしょう。
ブレザーのネクタイ
ネクタイは、臙脂色・ワインレッドや斜め上がりのレジメンタル柄ならばアイビールックの流れを汲むブレザーにピッタリと言えます。落ち着いた印象にしたい場合は、無地タイプのネクタイを合わせてみるとキレイにまとめられます。
ブレザーとスーツ&ジャケットとの違い
ブレザーの仕様について述べてきましたが、スーツとの違いは何なのかということについて気になった方もいるのではないでしょうか。ブレザーとスーツの違いについて分かりやすく以下にまとめました。
ブレザーはジャケットの一種
ブレザーは、つまるところジャケットの一種になります。ボタンダウンシャツやTシャツなどと相性が良く、ビジネスシーンからカジュアルまで対応しやすいのが特徴です。
スーツに比べてカジュアルな仕様
具体的に言うと、スーツに見られる芯地やパッドなどがブレザーには無いつくりのタイプが見られるなど、スーツのジャケットと比べてカジュアルなつくりである点が異なります。また、スラックスと同素材である必要が無いため、単体のアイテムとして広く活用できる点も異なる点です。
ブレザーの洗濯方法
ブレザーの洗濯方法ですが、スーツのジャケットと比較して学生の制服としても採用されるブレザーは丈夫に作られています。そのため、洗濯機で洗うこともブレザーによっては可能です。まずは洗濯ラベルを確認してみましょう。
洗濯機または手洗いのいずれの場合も、ウール素材を使用している素材であれば30℃以下の水温で洗うことが大切です。温度が高い場合、縮みの原因となり型崩れが起きてしまいます。
洗う前の準備として、ブレザーは前身頃と後身頃の大きさが違う場合はボタンを留めずに袖が中にくるように前身頃の横半分から軽く2つ折りにして洗濯ネットに入れます。洗濯機洗いの場合は、やさしく洗えるモードを選んで洗いましょう。手洗いの場合は、あらかじめ洗剤液をつくっておいてから浸けます。
脱水は、1分以内に留めます。繊細な生地の場合は水気を切った後、バスタオルで挟んでやさしく押して水分を吸い取ります。干す時は折りジワを伸ばしてブレザーやスーツ専用のハンガーを使って風通しの良い場所に陰干しします。
乾いたらシワになってしまった部分をあて布を使用してアイロンやスチームアイロンをかけてケアすると良いでしょう。スチームの水分が乾いたら吊るして保管します。
まとめ
今回、ブレザーの起源や仕様の特徴・スーツとの違い・洗濯方法などについて詳しく解説&紹介をしてきましたがいかがでしたでしょうか。ブレザーついて深く知ることで、カジュアルシーンはもちろん、ビジネスシーンなどまで幅広い場面でブレザーを取り入れた着こなしがしやすくなったのではないでしょうか。ぜひ、メンズ向けアイテム販売店やメンズ向け通販サイトでのお買い物の参考にしてみて下さい。今回の記事がブレザー選びの参考になれば幸いです。