「スリーピース」というと、結婚式などフォーマルなシーンでしか取り入れる機会があまり無いスタイルというイメージを持つ方が多いかもしれません。ですが、スリーピースは紳士の国のイギリスで生まれたスーツスタイルの基本でもあり、格調高いクラシックな装いを目指せます。
また、ジャケットを脱いでもオシャレに見えるスリーピースは、若い世代の方の間でもトレンドとなっており、洗練されたスーツスタイルにしたい方に人気です。そこで今回は、スリーピースの由来やスーツとの違いなどの基本から、スリーピースを着用する際の注意点・選び方などについて詳しく解説&紹介をしていきます。
スリーピースとは
スリーピースは、見た目がオシャレに見えるだけでなく体型補正や保温性が得られるなどのメリットを得られます。以下にてスリーピースの特徴や由来・一般的なスーツスタイルとの違いなどについて順に見ていきましょう。
スリーピースの基本情報
まず、スリーピースとはジャケットとパンツにベストを加えた組み合わせの3点セットを指します。日本では「三つ揃え」とも呼ばれています。ベストがあることで防寒性が得られたり、体型補正に期待ができたりするなどオシャレなだけではなく機能的にも優秀であることから昨今、再注目されるスタイルとなっています。
ジャケットとパンツと同じ生地で作られていることにより、ジャケットを脱いでも悪目立ちすることなく、全体のイメージをスタイリッシュに見せられます。また、暑い場合はベストを脱げば、かさばらずに持ち歩くことができます。
また、ベストを着用しないツーピースとしての着方ができるほか、ベストのみを他のジャケットと組み合わせた着こなしもできます。あえてネクタイをしないノーネクタイに1番上のボタンを外したYシャツのスリーピーススタイルもこなれ感と抜け感が出せて素敵な着こなしができます。
スリーピースの由来・歴史
スリーピースの誕生は17世紀のイギリスだとされています。ジャケットとパンツ・ベストの3セットで作られた理由としては当時、シャツは下着という感覚があり、ジャケットの中にベストを着ることで、ジャケットを脱いだ時にも下着であるシャツを大胆に見せない配慮があったようです。
ジャケット・パンツ・ベストは同じ生地で作られた、一体感のある着こなしができるのが特徴でしたが、時代の流れや各国に広がる経過でベストだけの呼び方もでき、国によって独自の呼び方ができるなど、ベストの種類も増えていきました。ベストのみの単体アイテムも生まれ、ロングタイプのようなウェアアイテムなども多く見られるようになっています。
スリーピースとスーツの違い
スリーピースとスーツの違いは、ベストがあるかどうかということになります。ただ、前述したようにベストが単体で作られるようになってくると、それらのベストと組み合わせればスリーピースと呼んでよいかというと厳密には異なります。
あくまで“ジャケットとパンツ・ベストの生地が同じ布地であること”が、正しいスリーピースの定義であり、ジャケットとパンツと異なる生地で作られたベストを合わせる時はスリーピーススーツではなく、スリーピーススタイルということになります。
スリーピースはいつ着用すべきか
では、具体的なスリーピースの取り入れ方ですが、難しく考えることはありません。ビジネスシーンでも通常のスーツスタイルのように取り入れることができます。特に、秋冬や春先など寒さを感じる季節には温かさをキープできるのでおすすめです。
フォーマルシーンは、ベストを着用することで簡単にフォーマル向けなドレスアップした装いができるため、スリーピース初心者の方も比較的に挑戦しやすい機会となるでしょう。
【シーン別】スリーピースのマナー・注意点
スリーピースを着る時のマナーや注意点についてシーンごとにまとめました。
ビジネス
ビジネスシーンでは、基本となるスーツスタイルがツーピースであるため、スリーピースを取り入れたスーツスタイルだと人によってはイメージの受け取り方が変わる可能性が考えられます。特に、初対面の方と会う時はベストを着用していると、主張を感じてしまうかもしれません。
ビジネスで着用する場合は、相手になる方との距離感を図ったうえで取り入れると良いでしょう。ただし、アパレル業界など服装により気を遣う職種などの場合は、積極的に取り入れた方が好まれる場合もあります。
結婚式
結婚式のようなフォーマルなシーンでは、スリーピースはスーツの最上級クラスのオシャレなスタイルでピッタリと言えます。ただし、新郎よりも目立ち過ぎないカラー選びが大切になります。黒色・ブラックのスリーピースだと初心者の方も取り入れやすくおすすめです。
弔事
葬儀の際は、スリーピースの着用はしない方が良いと認識しておいた方が無難です。喪主の方を立てた配慮が必要であるとともに、礼服の多くはツーピーススタイルが基本となるためスリーピースはふさわしくありません。喪主の方よりも格調高くなる可能性があるスリーピースは着用しないようにしましょう。
その他
華やかな印象や重厚なイメージを作りやすいスリーピースですが、弔事以外にも着用を避けた方が良い場合があります。例えば、就職活動中や新卒として働き始めたばかりである場合が挙げられます。
保温性があるといった優れた機能面はあるものの、着用することで装飾性が増して見えるため、まわりの方からどう見られることになるかをシーンごとに考えた取り入れ方が就活中の方や新卒の社会人には必要になります。
スリーピースの選び方
スリーピースを選ぶポイントとなる点についてまとめました。ポイントを押さえて選ぶことでスリーピースのメリットを活かしたオシャレなスーツスタイルを楽しめます。
着用シーン・目的から選ぶ
ビジネスならば、無地や柄が目立ちにくいタイプの落ち着いたカラーを選ぶと、重厚感が出せるので良いでしょう。パーティーなど華やかな場所ならば、明るいカラーや柄のあるスリーピースがおすすめです。
体型に合わせて選ぶ
スリーピーススーツを選ぶ時は、一般的なツーピーススーツを選ぶ時と同じように体型に合わせて選ぶことが大切です。体型に合ったスーツ選びをすることで身体のラインをキレイに見せられます。ベストがあることで縦のラインを強調し、引き締まった印象に仕上げられます。また、細身の方もベストを着用することで全身のスタイルアップを目指せます。
ジャケットの中にベストを着用するので、ジャケットはいつも選ぶサイズのほかにも念のため1つ上のサイズも着用してみると購入時の失敗リスクを避けられます。ちなみにベストの前は留めて着用するため、ボタンを留めた時に程よくフィットするジャストサイズを選ぶと良いでしょう。
生地から選ぶ
また、季節やシーンに合わせて生地から選ぶのも選び方のポイントになります。特に夏場は麻(リネン)やレーヨン・ポリエステル素材などを使った洗濯がしやすいスリーピースも多く見られます。中でも麻(リネン)は通気性も良く、夏場のスーツスタイルも涼し気になるのでおすすめです。
柄から選ぶ
スリーピースを選ぶ際にビジネスでも使いやすい柄は、チェックがおすすめです。チェックは、スリーピース発祥の地でもあるイギリスがルーツのトラッドスタイルにも相性抜群で落ち着いた上品な装いを目指せます。
チェックの中でも光の加減などで柄が分かる控えめな“シャドーチェック”は、ビジネスシーンに取り入れやすい柄でスリーピース初心者の方におすすめの柄です。
まとめ
今回、スリーピーススーツの基本情報やシーン別のマナー・スリーピーススーツの選び方などについて詳しく解説&紹介をしてきましたがいかがでしたでしょうか。スリーピースのスタイリッシュな見た目だけでなく、機能面の良さなども知ることで、1着持っておくと便利に思われた方もいるのではないでしょうか。ぜひ、メンズ通販サイトや紳士服店での買い物の参考にしてみて下さい。今回の記事がスーツ選びの参考になれば幸いです。