ベストには、前開きタイプや襟が付いたタイプなど形もさまざまあります。ベストを取り入れることで、保温性が増すだけでなくコーデの幅も広げられるのがポイントです。スーツコーデに取り入れた場合は、ネクタイとのバランスもとりやすくなり、スタイリッシュに見せられるなどのメリットも得られます。そこで今回は、ベストの由来や種類・ジレなどとの違い・オシャレな着こなし方などについて詳しく解説&紹介をしていきます。
メンズ向けベストの基礎知識
ベストは、袖のないことにより袖があるウェアアイテムよりも動きやすく軽いのが魅力です。また、メンズの体型をキレイに見せる効果に期待ができるのも嬉しい点と言えます。ベストの由来や、混同しやすいジレとの違いやマナーについて順に見ていきましょう。
ベストの歴史と由来
ベストの由来は、13〜14世紀の軍人用の護身着として使われていた『プールポアン』という鎖帷子(くさりかたびら)だと言われています。当時は剣を使った戦いが主流であったことから、鎖を編んだ防具が必要とされていました。
「ベスト」という言葉が一般にも浸透するきっかけになったのは、1666年にイングランド・スコットランド・アイルランドの王であるチャールズ2世が『衣類改革宣言』を発表したことが大きく関係しています。宣言によりジャケットやパンツなども流通するきっかけができ、1800年代にはベストがスーツの一部として使用されるようになりました。
ジレ・チョッキ・ベストの違いとは
最近よく聞くジレやチョッキやベストの違いについてはご存じでしょうか。実はこの3つは、形による大きな違いはなく国によっての呼び方の違いであったり、中間着として着るかアウターとして着るかなど、つくられた当初の目的の違いであったりすることが呼び名の違いにつながっています。
日本では名称別に使い分けする定義がされていないので、袖がないタイプの羽織りとして使用したり、ジャケットの中などに活用したりできるウェアを統一してベストやジレ・チョッキと認識しています。
ベスト着用時のマナー
ベスト着用時もスーツのジャケットと同じく「アンボタンマナー」というものがあります。1番下のボタンを留めないことでシワを防いで動きを妨げないようにするものですが、スーツの中に着るベストは着丈が短めなので、疑問に思うかもしれません。ベストのアンボタンマナーは、シワができて見た目を見苦しくさせないための他者への配慮として心得ておくと良いでしょう。
メンズ向けベストの代表的な種類
ベストは、スタイルのイメージに合わせてつくられたタイプや目的に特化して作られたタイプなど種類も豊富です。そこで以下にて“スタイルのコーデに合わせやすいベスト”と、“機能性にすぐれた目的別につくられたベスト”に分けて順に紹介していきます。
コーデに合わせやすいベスト
スタンダードなベストからファッション性に富んだオーバーサイズのベストなど、ファッションに取り入れやすい代表的なベストについて見ていきましょう。
ジレ
ジレは、フランス語で袖がない上着を指し、英語ではベスト、日本ではチョッキなどと呼ばれます。ジャケットの中間着やアウターの中に着るイメージでつくられたものが多く、ウール100%で保温性が高いものや、前開きでボタンが付いたデザインのタイプがあります。
ニットベスト
ニットベストは、ニット素材のベストで丸首のクルーネックやV字などのタイプがあります。シャツやカットソー・Tシャツなどとの相性が良く、カジュアルからビジネスまで使いやすいタイプのベストです。繊維が細いエクストラファインメリノウールなどハイゲージタイプの肌ざわりが良いベストなどはビジネスでも使いやすくおすすめです。
ダウンベスト
ダウンベストはアウターとして活用するタイプのベストです。吸湿性や放湿性にすぐれたダウンが含まれていることで暖かく、袖があるダウンよりも肩が自由になることで動きやすいのが特徴です。アウトドアウェアとして着たり、街で着るタウンウェアとして着たり幅広く使えます。パーカーと合わせるコーデも人気です。
チルデン・ベスト
チルデン・ベストはVネックの襟元に太いラインが入っているデザインが特徴です。テニス選手が愛用していたことから、スポーティーなカジュアルコーデとの相性もよく、トラッドスタイルにも取り入れやすいデザインのベストです。
フリースベスト
フリースベストはフリース素材を使用したベストで保温性にすぐれ、フワフワとした着心地などから家着や家の近くのお出かけのワンマイルウェア・普段コーデまで汎用性が高いベストです。シワになりにくく持ち運びにも便利です。カジュアルコーデとの相性もピッタリです。
ラペルド・ベスト
ラペルド・ベストは襟がついているベストで、スーツに合わせてきることが多いベストです。襟があることでより立体的でクラシカルな雰囲気のある上品な着こなしを楽しめます。シングルとダブルがあり、ボタンの数や前身頃の重なり部分の面積が変わります。ダブルの方が重厚感ある着こなしになります。
ジャーキン
ジャーキンはタイトにつくられたアウター用のベストです。丸首やV字などあり、レザーやニットなど素材も豊富です。中世イギリスで広まった防護性の高いウェアが由来となっており、前身頃を広く覆うデザインが特徴的です。
ウエストコート
ウエストコートはジレやベストと同じく呼び方が異なるベストを指します。イギリスでジャケットの中に着るウェアとして古くから活用されてきており、現在のスリーピースのルーツにあたります。
オッド・ベスト
オッド・ベストはスーツのジャケットやパンツとは異なる素材やカラーを使った単独につくられたベストで、より個性的なオシャレな着こなしなどを目指せるベストです。いつものスーツコーデとは違ったスーツコーデを試したい方におすすめです。
ファンシーベスト
ファンシーベストはオッドベストとも呼ばれますが、特に素材やカラーが特徴的であるタイプのベストをファンシーベストと呼びます。オッドベスト同様に単独でつくられており、柄や生地の織り方が際立つアクセント使いしやすいベストです。
機能性ベスト
ここからは、用途別に特化したベストを紹介していきます。目的に向けたデザインにつくられている点から普段のコーデにも取り入れやすいと評判になり、普段のコーデに取り入れる方が増えてきています。
トレイルベスト
トレイルベストは名前のとおりトレッキングやトレイルランニングなどに適したアウトドア用ベストです。身体にフィットさせることで走っても揺れが気になりにくく、収納力があるなどの機能性も兼ね備えています。
ウィンド・ベスト
ウィンド・ベストは防風性や撥水性・透湿性・速乾性などにすぐれたアウトドア用ベストで、身体にフィットするつくりが特徴です。軽量につくられているので持ち運びにも便利で、反射テープなど付いたタイプなどもあります。
フィッシングベスト
フィッシングベストは釣り専用ベストで道具を収納するための大小のポケットがあることから財布やスマホも収納しやすく、普段使いもしやすいベストとして人気です。撥水性があり背中面がメッシュ仕様になっているタイプなどあります。
ハンティングベスト
ハンティングベストは狩猟用ベストでフィッシングベストのように収納性にすぐれたつくりになっています。普段使いしやすいデザインで、普段のコーデにもおすすめです。
メンズ向けベストの着こなし方
スーツにベストを取り入れた際のコーデのポイントや、ビジネスからフォーマル・カジュアルまでシーンごとのおすすめの着こなし方について紹介していきます。
スーツ×ベストを着用する際のポイント
スーツの中にベストをインすることで、シャツやネクタイとのバランスもとりやすくなり、立体的な奥行きを出した着こなしや、体型を補正してキレイに見せる効果などにも期待ができます。秋冬は保温性の確保ができるのも魅力です。
スーツにベストを取り入れる際のポイントは、サイズやカラー・着丈などのバランスにあると言えます。まずはジャケットの中に着こんだ時に着ぶくれしない体型に合ったジャストサイズのベストを選ぶようにしましょう。
ベストのカラーはスーツに合わせたカラーか、スーツと同じトーンにすると馴染みやすくなります。着丈はジャケットより長くならないようにすると、バランスよく引き締まったスタイリッシュな着こなしを目指せます。スリム体型の方はVゾーンが浅いタイプのベストを選ぶと胸元のボリューム感を調整しやすくなるのでおすすめです。
フォーマルシーン
フォーマルシーンではスーツに合わせたカラーもしくは、少し光沢感があるベストを選ぶとフォーマル感があるきちんとした装いになります。襟付きタイプやダブルタイプなど、いつもとは違ったベスト選びを楽しめるでしょう。
ビジネスシーン
ビジネスシーンでは、スーツのカラーに合わせた統一感あるベスト選びをします。ベストは襟が無いプレーンなタイプを選び、ネイビー・紺色やブラウン・茶色、グレー・灰色などの落ち着いたカラーのスーツに合わせて取り入れると、ベスト初心者の方も取り入れやすくなるのでおすすめです。
カジュアルシーン
カジュアルシーンでは、ニットなどリラックスしやすい素材を使用したコーデにするとこなれ感も出しやすくなります。機能性ベストもプライベートならば取り入れやすくなり、トレンド感のあるコーデにもトライしやすいでしょう。ワイドパンツを使ったベストコーデは今っぽさを出しやすくなるのでおすすめです。
まとめ
今回、ベストの由来や種類、ジレ・チョッキ・ベストの違い、オシャレな着こなし方などについて詳しく解説と紹介をしてきましたがいかがでしたでしょうか。ベストを取り入れることで、保温性が得られるほか、いつものコーデをグレードアップさせたレイヤードコーデを楽しめるでしょう。スーツとの相性も抜群なので、スーツコーデに積極的に取り入れてみてはいかがでしょうか。ぜひ、メンズ通販サイトや紳士服店でのお買い物の参考にしてみてください。今回の記事が参考になれば幸いです。