軽くて暖かく手触りの良い「カシミヤ」は、スーツの生地としてもおすすめの天然素材です。軽快な着心地で高級感ある「カシミヤ」生地のスーツは、ツヤがあり冬本番を前にぜひ取り入れたいおすすめのスーツ素材です。そこで今回は、「カシミヤ」の特徴や生地の織り方・種類・お手入れ方法などについて詳しく解説&紹介していきます。
スーツ生地の「カシミヤ」の特徴とは
「カシミヤ」とは、カシミヤ山羊の毛を使用した動物繊維の生地です。夏は暑く冬は寒い厳しい環境に暮らすカシミヤ山羊の毛は、非常に繊維が細く長いのが特徴です。繊維内に空気を多く含むことができます。保温性のほかにも保湿性や吸水性・弾力性にも優れており、型崩れしにくいのも特徴となっています。
スーツ素材として使用した場合、一般的な羊毛のウール素材のスーツと比べて肌への刺激も少なく快適な着心地を得られるでしょう。やわらかい毛質なので、身体に馴染みやすくシワになりにくいのもポイントです。
「カシミヤ」生地の2種類の織り方
「カシミヤ」生地は機械織りと昔ながらの手織りの2種類に分かれます。それぞれの違いについて見ていきます。
機械織り|手織りに比べてハリ感がある
現在は、ほとんど機械織りが主流となっています。機械織利の特徴は織り目が整然としており、均一な生地表面になります。機械で編みあげるには、ある程度糸に強度を出す必要があるため、手織りの「カシミヤ」生地に比べてハリがある仕上がりになります。
手織り|ふんわりとした繊細な仕上がり
手織りの場合は、機械織りの場合に比べて細い糸を人の手で微調整しながら織ることができるため、より繊細な生地をつくることができます。生地表面に表情をつけやすいのも手織りならではの特徴となっています。
「カシミヤ」生地の種類
「カシミヤ」生地のもととなるカシミヤ山羊にも毛のカラーによる違いや、剪毛(せんもう)と呼ばれる毛刈りの時期による毛質の違いなどから数種類に分けることができます。
「カシミヤ」のカラー分けによる種類
カシミヤ山羊の毛のカラーは、主に白・ホワイトを持つタイプ、灰色グレーの毛を持つタイプ、茶色・ブラウンの毛を持つタイプに分けられます。
ホワイトカシミヤ|染色しやすい高級品
ホワイトカシミヤは、白色・ホワイトの毛を持つカシミヤ山羊から採取された毛で、ふんわりとしてやわらかく淡い色に染めやすいため、カシミヤの中でも最高級ランクとされます。
グレーカシミヤ|ナチュラルなカラー
グレーカシミヤは、灰色・グレーのほか、ベージュ系の毛を持つカシミヤ山羊の毛もグレーカシミヤと呼ばれています。ナチュラルなカラーでコーデに馴染ませやすい色味です。
ブラウンカシミヤ|シックで落ち着いた印象
ブラウンカシミヤは、落ち着いた濃い茶色・ブラウンでダークカラー系統のコーデに合わせやすいでしょう。シックな感じで高級感あるコーデを目指せます。
ライトフォーンカシミヤ|年代問わない上品なカラー
ライトフォーンカシミヤは、濃いベージュのような落ち着いたカラーで茶色・ブラウン系のコーデとの相性も良いでしょう。年代や年齢など選ばない定番カラーです。
「カシミヤ」の剪毛(せんもう)時期による種類
カシミヤ山羊の剪毛(せんもう)は、春の終わりから初夏にかけて行います。ベビーカシミヤは大人になる前の子ヤギの毛を刈ったカシミヤです。
ベビーカシミヤ|繊維の宝石と呼ばれる
ベビーカシミヤは、生後12か月未満のカシミヤ山羊の毛を原料としており、通常のカシミヤ山羊の毛よりも繊細な毛質なので、しなやかでふわふわ感をより感じられる仕上がりになります。そのため“繊維の宝石”とも呼ばれています。
「カシミヤ」生地のおすすめ季節
「カシミヤ」生地の活躍する時期は、秋冬というイメージがあると思いますが、実は夏にも使うことができます。カシミヤ繊維は吸湿性と放湿性に優れており軽いので使いやすく、サラリとした質感の絹(シルク)と合わせた混紡仕様のジャケットなども多く見られます。朝晩など冷えやすい避暑地などの羽織物などにピッタリです。
「カシミヤ」生地のメリット&デメリット
「カシミヤ」生地にも得意とする点と苦手とする点があります。それぞれについて解説していきます。
メリット
肌ざわりの良さや軽量でありながら高い保温性を持ち、重ね着をしなくても良いことからリラックスしたコーデもしやすいのが魅力です。肌へのチクチク感も少なく保湿性も期待でき、特に秋冬シーズンには男性・女性問わず幅広い年代の方におすすめです。
デメリット
一般的な羊毛のウール素材に比べて価格が高く高級品です。また、繊細な繊維なので毛玉(ピリング)が起きやすい傾向にあり、水にも弱い性質を持ちます。お手入れの方法や具体的な対策などについては次項にて解説していきます。
「カシミヤ」生地の洗濯方法
「カシミヤ」生地を使用したウェアアイテムの中には手洗いができる製品もありますが、ウェアによっては自宅での洗濯が難しい場合もあります。特に「カシミヤ」を使用したスーツやジャケットなどは、洗濯することで毛羽立ちなどのダメージになりやすいのでクリーニング専門店に出すのも1つの方法です。
まずは、普段のお手入れをしっかりとしていくことで大切な「カシミヤ」生地のスーツなどを長持ちさせましょう。「カシミヤ」生地のスーツなどは、脱いだら生地表面のホコリなどが付着しているため、やわらかい毛質の馬毛ブラシなどを使ってブラッシングしてあげます。ブラッシングすることで繊維の方向を整えてツヤのある質感を維持しやすくなります。
もし、汗をかいたり食べこぼししたりした場合は、汚れのある部分を水に濡らし硬く絞った布で軽く叩いて汚れを布に移すように汚れを除きます。こすると「カシミヤ」生地の毛羽立ちダメージとなるので気を付けます。
冬のシーズン終わりなど、しばらく袖を通さない場合は洗濯してから保管します。自宅で手洗いできる表示がある場合は、デリケート素材専用洗剤をバケツなどに30℃以下のぬるま湯をためた中に溶かし、均一な濃さになるように調整しておき押し洗いをしていきます。
「カシミヤ」を含む動物繊維の素材は全般的に縮みやすい性質があるので、デリケート素材専用洗剤のほかにもマイルドな洗浄力のシャンプーを使用した洗濯方法もダメージを受けにくくおすすめです。柔軟剤でコーティングしたら脱水を30秒〜1分以内の短時間にとどめ水気を切ります。
「カシミヤ」生地の干し方
洗濯後の「カシミヤ」生地は水を吸って重くなっている状態です。そのため、ハンガーに掛けて干すと伸びてしまい型崩れしてしまいます。通常のニットアイテムと同じように平干しが基本となります。
平干し専用のハンガーが無い場合は、バスタオルの端をピンチなどでしっかりと固定し、ピンと張った状態にして干すなど即席の平干しハンガーを使って干すのもおすすめです。干す場所は、紫外線によるダメージを防ぐために直接、太陽光が当たらない陰で干す必要があります。風が通るようにすると乾きやすくなります。
スーツ以外でよく使われる「カシミヤ」生地を使用したアイテムなど
「カシミヤ」はスーツの素材として使用されるほかにも、セーターやコートなどのアパレルウェアアイテムや、マフラーやストール・ハンカチーフなどの身近なファッション小物にも使用されています。
非常に高級素材ですが、マフラーやストールならば手の届きやすい価格なので、カシミヤ初心者の方も取り入れやすいでしょう。
まとめ
今回、「カシミヤ」生地の特徴や種類・洗濯方法などについて詳しく解説と紹介をしてきましたがいかがでしたでしょうか。軽く艶やかな「カシミヤ」は天然素材なので身近に取り入れることで厳しい冬はもちろん、夏も快適に過ごしやすくなるでしょう。ぜひ、メンズ服の通販サイトや紳士服店でのお買い物の参考にしてみてはいかがでしょうか。今回の記事が参考になれば幸いです。