「カーディガン」は男性・女性・年代・季節に関係なく、オールシーズン着られる万能アイテムです。寒い日には体温調節に、夏は冷房対策に使うことができます。また、コーデにプラスするだけでも手軽におしゃれな雰囲気を目指せるのも「カーディガン」のメリットでしょう。そこで今回は、紳士向けメンズカーディガンについて基本情報から着用シーズン・お手入れ方法などについて詳しく解説していきます。
「カーディガン」の原型や由来について
今ではセーターと並んで定番のウェアアイテムである「カーディガン」は、元となる原型のウェアアイテムがあったのはご存じでしょうか。「カーディガン」の発祥などについて見ていきましょう。
「カーディガン」の原型は“フィッシャーマンセーター”
「カーディガン」の原型は、17世紀のイギリスやフランスの漁師たちが愛用していた手編みのしっかりとした厚みのある“フィッシャーマンズセーター”が原型とされます。
フィッシャーマンズセーターは、海の上でも暖がとりやすく、濡れにくいなどの機能が重視されており、脱ぎ着がラクなことも大切な要素でした。そのため、シルエットも徐々にカーディガンに近いタイプのものが生み出されてきたと想定されます。
「カーディガン」と名付けられたのは19世紀から
「カーディガン」と名付けられたのは、イギリス陸軍であったカーディガン伯爵7世の『ジェイムズ・ブルデネル』氏にちなんだものとされます。カーディガン伯爵7世が生存していた19世紀当時は、イギリスやフランス・トルコなどの連合軍とロシアはクリミア半島を巡って大規模な戦争をしていた歴史があります。現在でも争いの舞台となってしまっているクリミア半島ですが、当時の争いも苛烈を極め、多くの負傷者や死者を生み出す結果となってしまいました。
そして、負傷兵でも脱ぎ着しやすい防寒服として、カーディガン伯爵7世がセーターを前開きに改良した「カーディガン」を広め、軍服の羽織りものとして重宝されました。伯爵7世が死去した1868年以降に正式に「カーディガン」の名前が名付けられたとされています。
その後は、産業革命により大量生産の技術が確立されると「カーディガン」が世界に広まり現在へと続いてきたわけですが、時代を経るごとに多様な素材やシルエットの「カーディガン」が増えていきました。
ちなみに、一説に「カーディガン」はベストをヒントに生み出されたとの説もあり、諸説あるようです。現在は、カーディガン伯爵が前開きのセーターを生み出したというのが最も有力な説になっています。
「カーディガン」の特徴
「カーディガン」は、素材やカラー・シルエットによってさまざまなタイプがあり、前が開くことで、その場で脱いだり着たり自由に扱いやすいのが便利です。
基本的に選び方として、羽織ものやインナーとして両方活躍させたい時は、身体のラインに合ったジャストサイズを選ぶとどちらの場合も使いやすくおすすめです。特にビジネスシーンにはスマートに着まわせるジャストサイズがマスト。逆にリラックスできるプライベートシーンでは、オーバーサイズやスウェットライクな「カーディガン」など気楽に取り入れてみるのも良いでしょう。
また、ボタンがあるタイプやボタンがないタイプ、襟があるタイプや襟なしタイプなど、シンプルでありながら表情豊かなのも特徴です。シーンと目的に合わせて「カーディガン」も選ぶと上手なコーデを目指せます。
「カーディガン」はいつから着るのがおすすめ?
「カーディガン」は、脱いだり着たりしやすい点からセーターよりもより幅広い季節に取り入れやすく、寒い季節以外も素材や編み方を工夫することで季節関係なく着られます。
また、「カーディガン」はジャケット感覚で着ることもできるのでメンズのビジカジスタイルにも取り入れやすいでしょう。ジャケットほどカッチリしすぎず、リラックスして着やすい着心地もポイントとなっています。
「カーディガン」の本格シーズンは10~4月
防寒目的で「カーディガン」を着る場合は、気温が18〜19℃より下がってきたら取り入れる1つの目安となります。ウールなど保温性の高い素材のカーディガンを選び、しっかりと防寒対策をしましょう。季節的には10〜4月などが本格的な「カーディガン」を取り入れるシーズンとなります。
ちなみに、人が肌寒いと感じるのは15〜22℃とされているので、おおよそ20℃以下になったら、羽織ものとしてカーディガンをプラスしてあげると体温を調節しやすくおすすめです。15℃以下になると完全に寒さを感じる気温なので、ウール素材やモヘア素材、保温効果が高いとされるカシミヤやアルパカ素材、ロング丈などの「カーディガン」を取り入れると良いでしょう。
「カーディガン」は素材など選ぶことでオールシーズン使える
一方、春や秋は時期によっては20℃以下の寒さを感じる場合があるので、ウールや綿(コットン)素材や他の素材同士を組み合わせた混紡素材などの「カーディガン」を気温に応じて調節しながら取り入れるのがコツです。
春と秋では気温が18~23℃と似たような温度ですが、暑さが急に感じられやすい春の季節は通気性が高い綿(コットン)素材、寒さが深まってくる秋はウールやアクリル・ナイロン・ポリエステルなどを使用した素材の「カーディガン」がおすすめです。
夏場はサマーニットとして着用するほか、室内でも活躍させられます。冷房がかかった室内は、場合によっては室内気温が20℃台前半のこともありえるため、綿(コットン)素材やレーヨン・ナイロンなどのドライな肌ざわりの素材の「カーディガン」で冷房対策すると良いでしょう。紫外線カット機能など機能素材を選ぶと日焼け防止にも効果的です。半袖タイプや七分袖など夏らしいカーディガンシルエットも楽しめる時期でもあります。
「カーディガン」の洗濯・お手入れ方法
まずは、洗濯方法は洋服の裏の脇面に縫い付けられているラベルを確認することから始めます。ラベルには洗濯する時の洗い方から水の温度やアイロン情報などついて詳しい扱い方が書かれており、洗濯機では洗えないと思っていたウール素材でも洗濯機で洗える場合もあるので最初に洗濯ラベルをチェックしましょう。
また、汚れた場合は洗うのが基本ですが、2週間に1回など洗う頻度を調節してあげるのも「カーディガン」を長持ちさせるコツとなります。上手に防臭&抗菌スプレーなどを活用してみて下さい。
「カーディガン」を洗濯機で洗う場合
「カーディガン」を洗濯機で洗う場合は、洗濯ラベルと素材から判断しますが、デリケートな素材の場合はクリーニング店にお任せした方が良い場合もあります。
たとえば、アクリル素材ならばリーズナブルなものが多いので気軽に洗濯もしやすいでしょう。一方、レーヨンなどの人工繊維素材の場合は水に濡れると縮みやすく、クリーニング店でドライクリーニングを頼む方がダメージのリスクを減らせます。
洗濯ラベルで洗濯機洗いが可能ならば、まずは「カーディガン」に汚れがあるかどうかを確認します。汚れがある場合は事前につまみ洗いをしておきましょう。擦らずやさしく中性洗剤液を浸透させるように揉んでおきます。下洗いが終わったら、ボタンを全て留めて洗濯ネットに折りたたんで入れます。洗濯ネットは大きすぎず小さすぎないジャストサイズが好ましいサイズです。
汚れがある面や襟など汚れやすい部分を外側にして洗濯ネットに入れ、洗濯機のモードをドライコースや手洗いコース・手造りコースなどやさしく洗えるコースを選択します。「カーディガン」がウール素材などの動物繊維の場合は体温に近い30℃くらいにすると、生地を傷めず汚れがとれやすくなるのでおすすめです。
洗剤は家庭でニット製品が洗える中性洗剤を使用し、仕上げに柔軟剤を使用して静電気を防止して繊維同士が絡まないようにしましょう。柔軟剤を使うことでニットらしいふんわり感も出せます。脱水は20秒ほどにして型崩れを防ぎます。
「カーディガン」を手洗いする場合
洗濯ラベルに手洗い指示がある場合や、自宅洗い可能なデリケートな素材の「カーディガン」の場合は、手洗いをします。特にウールなどの動物繊維やアクリルなどの素材は毛玉になりやすいので、擦れを防ぐためにも手洗いがおすすめです。
手洗いの場合は、洗面器やシンクに30℃以下の水温に調節したぬるま湯を張り、中性洗剤をあらかじめ溶かして均一な濃度にしておきます。同じ濃度にすることで、色抜けなどのリスクを防げます。次に洗濯ネットに入れた「カーディガン」を、繊維に液が浸透するようにやさしく押し洗いをしていきます。
洗い終えたら、洗剤が残らないようすすぎも十分行い、脱水しましょう。洗濯機で脱水を洗濯機で行う場合は、20秒以下の短時間脱水が基本です。洗濯機での脱水が心配な場合は、乾いたバスタオルでやさしく挟んで水気を吸い取ります。
「カーディガン」の干し方
平干しで陰干ししましょう。ニット専用の平干しハンガーを使用するのがベストですが、 ピンチが付いた物干しハンガーの上部を利用することで広げて干すこともできます。ちなみに、平干し専用ハンガーはメッシュ素材で1〜3枚まで同時に干せるタイプのハンガーもあるので1つ持っておくと便利です。
「カーディガン」の保管の仕方
保管する時はカーディガンの肩部分にハンガー跡がつきにくい丸みのあるタイプハンガーがおすすめです。ただ、カーディガン自体に重みがある素材の場合は、伸びやすいのでたたんで収納すると良いでしょう。
たたみシワがついてしまった場合は、スチームアイロンをあて布を使用してサッとアイロンかけをしてあげるとシワを改善しやすいでしょう。水気が残ったまま収納してしまうとカビの原因となるので、しっかり乾かしてから保管するようにしましょう。
「カーディガン」に毛玉ができてしまったら
毛玉ができてしまったら引っ張ってとるのはNGです。引っ張ることで「カーディガン」の生地が毛羽立ち、さらなる毛玉の原因となってしまいます。ハサミで1つ1つ取り除くのも良いですが、『毛玉取りブラシ』や『毛玉取り器』があると短時間でキレイに「カーディガン」のお手入れができておすすめです。
『毛玉取りブラシ』は、馬やイノシシの毛を使用しているタイプのものが多いため、カシミヤやウールの素材のカーディガンに使用すると、ツヤが出せるといったメリットがあります。使う時は、軽いタッチで使い生地を傷めず毛玉部分のみをブラシに引っ掛けるようにして使用すると、ツヤを出しながらキレイに毛玉を取り除けます。
『毛玉取り器』は、充電タイプやコンセントタイプがあり、短時間でキレイに毛玉が取れるのがメリットです。生地に刃が当たる高さを調節できるタイプもあるので大事なカーディガンの生地を薄くしてしまう恐れもありません。毛玉を取る際は、生地を綺麗に広げてたるみを作らないようにすると、カーディガンに穴が開くことを避けられます。また、取れた毛玉はまとめて捨てられるので便利です。
デリケートな生地は動物毛を使用した毛玉ブラシを使用し、普段使いの気楽なカーディガンならば毛玉取り器でのケアがおすすめです。
まとめ
今回、メンズカーディガンの基礎知識からお手入れ方法について詳しく紹介してきましたがいかがでしたでしょうか。カーディガンの由来や気温や季節によって取り入れたいカーディガンについて知ることで、紳士服店やメンズ服通販サイトでのお買い物の参考にできるのではないでしょうか。お気に入りのカーディガンを長持ちさせながらぜひ、カーディガンコーデを楽しんでみて下さい。今回の記事が参考になれば幸いです。