ニットは秋冬だけではなく、素材を選ぶことで春や夏も楽しめる優秀なアイテムです。ボトムスに合わせたりレイヤードさせて着たりと着回し力が高いのも魅力。シンプルなニットを選ぶと地味になりがちと悩んでいる方も、シルエットや素材・編み方を知ることで紳士服店やメンズ服通販サイトでワンランク上の着こなしを目指したお買い物ができます。そこで今回は、ニットの編み方や素材の種類についてくわしく解説&紹介していきます。
ニットの印象を決める網目の大きさ種類
ニットの印象を決めるのは、シルエットや素材・編み方・カラー・柄などが主な要因となります。その中でも糸を編む網目の大きさは、ニットのベースに関係してくるだけに着た時の印象が大きく変わってきます。網目の大きさについて以下にて詳しく解説します。
ゲージとは
まず、ニットを作る際に網目の大きさの基準を決める必要があります。1インチの間にいくつの編み針が並べられるかを“ゲージ”という単位で表し、ゲージの数値によってニットを編み上げる密度も変わります。紳士服店やメンズ服通販サイトでも商品名とともに表示されていることがあるので、見かけたことがある方もいるのではないでしょうか。
数値の表し方は、7ゲージならば1インチの間に7つの編み針が入り、12ゲージならば1インチの中に入る網針の数は12ということになります。数が多くなるほど網目が小さくなり、繊細な仕上がりになります。
インナーに使いやすい「ハイゲージニット」
「ハイゲージニット」は、12ゲージ以上の編み目が細かいニットです。使用する糸も細いものを使用しており、ニット生地の厚みも薄く編み上げられます。光沢があり上品でドレッシーな印象なので、スーツやジャケットのインナーに向いています。
生地が薄い分、身体のラインを拾いやすいため、ジャケットなどの羽織物を着用しない時のサイズ感に悩みがちですが、一般的にジャストサイズを選ぶと着回しという点でもおすすめです。好みに合わせていつものサイズよりも1サイズアップしてこなれ感を楽しんでみても良いでしょう。大人っぽいコーデや春夏シーズンのニットコーデに向いています。
バランスを取りやすい「ミドルゲージニット」
「ミドルゲージニット」は、6〜10ゲージ以下のハイゲージとローゲージの中間の網目になるニットです。ハイゲージニットよりも肉厚なので保温性高く、目が詰まっているので風も通しにくいのが嬉しい点です。
ジャケットやアウターのインナーに使用するほか、適度なボリュームを活かしてニットをメインにした着こなしにもピッタリです。カジュアルコーデとも相性が良いのも使いやすいポイントでしょう。秋冬向きのニットですが、春先など気温が低い時期にも使えます。
手編み感が魅力の「ローゲージニット」
「ローゲージニット」は、5ゲージ以下の網目が粗いザックリとした印象のニットです。縄編みの印象が深い“アラン柄ニット”や動物柄がモチーフの“カウチンニット”など、素朴な手編み風の仕上がりが魅力となっており、厚い生地でボリュームがあります。
アウターとして活用したりすることも可能で、アウターと生地感を合わせるとバランス良く取り入れられます。カジュアルコーデと相性が良く、生地表面の表情も楽しめます。素材をモヘアなどなめらかな質感を選ぶとローゲージニットでも重く見えません。
ニット素材の種類
ニット素材の種類は、天然素材と人工的に作られた素材に分かれ、「動物繊維」・「植物繊維」・「化学繊維」の3つに大きく分けられます。「化学繊維」の中にも「混合繊維」があり、それぞれ異なった性質を持ちます。また、天然素材と化学繊維を組み合わせて作られたハイブリッドな混紡素材もあります。選ぶ時は、質感や機能性など目的に合わせると希望するコーデにしやすいでしょう。
【天然素材】動物繊維
「動物繊維」は、羊をはじめ山羊やラクダ・ウサギ・馬・キツネ・ミンク・アルパカ・アヒルなど獣毛を含む生き物から作られる繊維を指します。主にタンパク質の成分からなり、中には蚕の糸やクモの糸なども含まれます。クモの糸は収穫量が少ないため現段階では製品化されるのではなく、新たな素材の研究材料とされています。下記にてよく使われる動物繊維について順に見ていきましょう。
ウール
「ウール」は、羊の毛を使用した素材です。ニット製品の大半は羊の毛を使用したウール素材からなります。羊毛の表面は粗く空気を良く含むことから保温性や弾力性に優れ、防臭性や吸湿性にも期待できます。
洗うと縮みやすい難点がありましたが、近年はウォッシャブル仕様のニット製品も出てきており、よりウール素材のニットが取り入れやすくなっています。
ウールの中でも“メリノウール”は糸の繊細さによるなめらかな質感と肌ざわりが得られることから高級品とされており、糸が細さによりランク分けされています。
カシミヤ
「カシミヤ」は、カシミヤ山羊の毛を使用した素材です。中国やモンゴルなどの山に生息しており、カシミヤ山羊1頭からわずかな毛しか収穫できないので、希少な素材として高級品です。
繊維が細く均一なので、編み込むと独特なツヤがあり“繊維の宝石”と呼ばれるほどです。保温性があり軽く型崩れしにくい特徴があり、ニット製品のほかにもジャケットなどのアウターやスカーフやマフラー・帽子などさまざまな製品に使われています。
モヘア
「モヘア」は、アンゴラ山羊の毛を使用した素材です。トルコや南アフリカ・アメリカなど世界各地に生息しており、柔らかくなめらかでツヤ感のある毛が特徴です。空気を良く含むため暖かく、ふんわりとした毛質がソフトな印象を生みます。スケールと呼ばれるキューティクルにあたる“うろこ”の溝があまりないので、濡れても絡みにくく縮れにくい性質を持ちます。
ボリュームが出やすいのでボトムスはスッキリしたタイプのシルエットを選ぶとバランスが取りやすいでしょう。柄もシンプルなタイプを選ぶと、モヘアのふんわりとやさしいイメージを活かしたコーデにできます。
アンゴラ
「アンゴラ」は、アンゴラうさぎの毛を使用した素材です。ソフトでシルクのようななめらかさを持ちます。繊維の中に空洞があることで空気を含み、暖かい着心地が得られます。湿度調整もしやすいことから蒸れにくく、キレイな白色・ホワイトの毛を活かしたコーデも楽しめます。染色性も良く淡い発色のニットなど多くのカラーにも対応できます。
カシミヤと比べてツヤは控えめなので、普段使いもしやすいでしょう。毛が長く引っ掛かりやすいので、1日着たら数日休ませるなど調節しながら着ると良いでしょう。静電気が起きやすく毛が抜けやすい難点があるので静電気が発生しやすい冬場は静電気防止スプレーを活用してみるのも1つの方法です。
アルパカ
「アルパカ」は、アルパカの毛を使用した素材です。南米のアンデス山脈など非常に高度が高い地域に暮らしており、夏と冬の気温差や1日の昼と夜の寒暖差が大きい厳しい環境に合わせた毛質を持ちます。
アルパカの毛は繊維で細さによりランクがあり、細いほどなめらかな質感で高級とされています。丈夫で毛玉になりにくいので、扱いやすいのもポイントです。毛のキューティクルのキメが細かいので繊維同士が絡みにくく、肌に刺さるようなちくちくも感じにくいでしょう。
シルク
「シルク」は、蚕の繭から作られている素材です。繊維が細く保温性に優れます。吸放湿性があり蒸れにくく、肌トラブルが起きにくいのも特徴です。引っ張りに対する強度があるのも特徴となっており、肌ざわりが非常になめらかです。
通気性や肌ざわりが良い反面、擦れに弱くシミや変色が起きやすい天然素材なので、洗濯の際には注意が必要です。
【天然素材】植物繊維
天然素材の植物繊維には、春夏に活躍する綿(コットン)や麻(リネン)が主流となっています。身近な植物繊維を使用したニットの特徴について見ていきましょう。
綿(コットン)
「綿(コットン)」は、綿花から作られる素材です。TシャツやYシャツなどの身近な衣服に使われるほか、春夏ニットなどにも良く使われます。肌ざわりが良く、ビジネスシーンやプライベートシーンまで幅広く取り入れやすく、多くの綿(コットン)ニットはネットを使用して洗濯機で洗うこともできます。
繊維の長さによって短繊維綿・中繊維綿・長繊維綿に分かれており、洋服アイテムには中繊維綿や長繊維綿が使用されています。
麻
「麻」は、亜麻科の植物から作られた素材です。麻のニットは麻のシャリ感のあるドライな着心地が特徴です。繊維の中央が空洞となっているため通気性に優れており、気温や湿度が高い夏場にピッタリのニットと言えるでしょう。
吸水性や強度にも優れ、ペクチンという柑橘類などに含まれる液体を固める作用を持つ成分が含まれているため、汚れがつきにくく毛羽立ちにくいのも麻ニットのメリットとなっています。
【人工素材】化学繊維
化学繊維は合成繊維と再生繊維に分けられます。主に石油や人工的に作られた原料をもとにニットも作られています。化学繊維は強度があり、種類によって天然素材よりも扱いやすい特徴もあります。順に見ていきましょう。
レーヨン
「レーヨン」は、天然の木材パルプや綿(コットン)を使用した再生繊維素材です。パルプや綿(コットン)が入ることで、肌ざわりも良くとろみのある質感となります。シルクに似た質感でなめらかです。
吸湿性があり汗をかいてもサラリとしているため、夏のニットにおすすめです。毛玉ができにくいのも特徴で鮮やかな発色を楽しめます。色移りしやすいので、洗う際はほかの洗濯物と分けて洗濯機の弱水流モードもしくは、手洗いやクリーニングに出すと良いでしょう。
【天然素材】+【人工素材】合成繊維
化学繊維には、植物繊維や動物繊維を含む天然繊維との混合素材があります。ちなみに、ナイロン・ポリエステル・アクリルは3大合成繊維と呼ばれています。ニットにも良く使用されている合成繊維について見ていきましょう。
アクリル
「アクリル」は、石油や天然ガスの成分とアンモニアを混ぜて作ったアクリロニトリルを主な原料として作られた混合素材です。ウールに似た質感で高い保温性も持ちながらリーズナブルな価格で気軽に取り入れやすいでしょう。ウールの動物性繊維よりもちくちく感がないのもメリットです。
ただ、吸湿性が少なく静電気が起きやすいので、洗濯の際には柔軟剤を使用して摩擦による毛玉ができにくい状態にしておくと良いでしょう。
ポリエステル
「ポリエステル」は、石油由来のポリエチレンテレフタレートを原料にして作られた混合素材です。綿(コットン)に似た質感でアクリルに比べて保温性が劣りますが、耐久性があり縮みにくい特徴を持ちます。
たたんで収納していてもシワがつきにくく、虫食いの心配もいらない点が魅力です。洗濯の際は、汚れを吸着しやすい性質があるので分けて洗い、静電気対策に柔軟剤を使用すると良いでしょう。
ナイロン
「ナイロン」は、石油由来のポリアミドから作られた混合素材です。ストッキングの素材として活用されるほど、強度が高いのが特徴です。ウールニットと比べて軽やかな仕上がりでシワになりにくいのもメリットです。秋冬や春夏のニットにも使用されています。
熱に弱く黄ばみが出やすい点があるので、洗濯の際はお湯ではなく水を使用してお手入れします。汚れがひどい場合は、クリーニング店にドライクリーニング依頼すると良いでしょう。
まとめ
今回、ニットの種類・素材や編み方について詳しく解説&紹介をしてきましたがいかがでしたでしょうか。ニットはコーデを上品な印象にまとめやすいので、素材や編み方から選び、上手にニットを取り入れたオシャレなメンズコーデを楽しんでみましょう。今回の記事が参考になれば幸いです。