セーターの種類には、素材や編み方・シルエットなどの違いから多くの種類があります。紳士服店や通販サイトでもスーツに合わせられる定番セーターや、最近トレンドの袖が膨らんだ優雅なデザインのセーターなど幅広いセーターを見かけることができるでしょう。そこで、今回はニットの中でもセーターと比較されやすいカーディガンとの違いや、定番のセーターのシルエット&デザインの種類について詳しく解説&紹介していきます。
「セーター」と「カーディガン」は“ニット”の仲間
ニットは、動物繊維や植物繊維・合成繊維を使用した糸をループ状にして編み上げた製品を指します。そのため、「セーター」も「カーディガン」も“ニット”の1種ということになります。
「セーター」は、上からすっぽりと被って着用する前開きではないシルエットのニットです。「カーディガン」は前開き仕様になっているので、ボタンを留めて着用したりボタンを留めて着用したり、シーンや好みによって着こなしの変化を楽しめます。ボタンを全て留めればセーターのようにして着ることもできます。
また、セーターやカーディガンは襟の形にバリエーションがあり、襟元のシルエットによってTシャツやYシャツなどとレイヤードする時の印象も変わってきます。
セーターのシルエット&デザインの種類
セーターのシルエット&デザインは時代によってトレンドがあり、伝統的なデザインから時代を反映した特徴的なおしゃれなデザインまで豊富です。カラーもその時々によってトレンドが変わり、毎年異なるシルエットを取り入れながらセーターコーデを楽しめます。以下にて代表的なセーターや伝統的なセーターなど、順に解説していきます。
チルデンセーター
「チルデンセーター」は、Vネックの襟や袖に落ち着きのあるレトロなカラーを使ったラインが特徴的なセーターです。(※襟部分のみラインが入ったタイプもあります。)アメリカのテニス選手「スプレイヤー・ウィリアム・チルデン」が愛用していたことから名づけられ、白色・ホワイトや紺色・ネイビーなどのカラーをベースに作られた伝統的なシルエットがあり、男性・女性問わず人気です。
ザックリと編んだケーブル編み(縄のような模様)は、イギリスの伝統的なセーターによく見られるデザインで、トラッドスタイルにも良く合います。襟元がV字に大きく開いているため、レイヤードしてコーデすることが多く、カジュアルでありながらきちんとした印象にしやすいデザインのセーターです。
シルエットにゆとりがあるので、デニムやチノパンなどカジュアルなパンツに合わせやすいのも取り入れやすいポイントとなっています。
クルーネックセーター
「クルーネックセーター」は、首元が丸首になったシンプルなシルエットのセーターです。スーツやジャケットの中に合わせる定番シルエットのセーターでもあり、気回しがきく点が魅力です。
セーター生地の種類や厚さによってセーターを主役にしたり、レイヤードさせて着用したりできます。首元が開きすぎていないのできちんとした印象にしやすく、セーターの目の細かいタイプであればキレイ目に仕上げられます。
セーターの目の粗いタイプはカジュアルなコーデに向いており、サイズ感もオーバーサイズを選ぶとこなれた感を出しやすくなります。シンプルなシルエットなので、カラーにこだわるとコーデのポイントになります。
Vネックセーター
「Vネックセーター」は、首元がVネックになったタイプで、クルーネックセーター同様にスーツやジャケットのインナーとして取り入れやすいシルエットのセーターです。
襟元がV字なので、Yシャツとレイヤードした時も首元をスッキリと見せられ、Yシャツの一番上のボタンを外した際にVネックの開きに対して丁度良いバランスをとれます。
シンプルなシルエットなので希望イメージに合わせてカラーを選ぶと良いでしょう。ちなみに明るいカラーは華やかな印象にすることができ、クールにしたい時はダークなカラーを選ぶとスタイリッシュで落ち着いたイメージにできます。
ボートネックセーター
「ボートネックセーター」は、鎖骨のラインに沿って肩から肩まで横長に開いた首元が特徴のセーターです。横長にカーブを描いた様子がまるで船の底のようであることから“ボートネック”の名前が付きました。
セーターのみではなく、レディースのドレスなどの意匠にも採用されるシルエットで、鎖骨をキレイに見せたい方におすすめです。特に面長の方におすすめのシルエットとなっており、横に伸びるラインが顔の面長の印象を穏やかに補正してくれます。上品なイメージで体型を選ばないシルエットなので、どの方にもおすすめのセーターです。
ガンジーセーター
「ガンジーセーター」は、イギリスとフランスの間にある海に囲まれたガンジー島発祥のセーターです。漁などの海仕事で着用しやすい特徴を持ち、明かりが少ない海上でも簡単に着られるように前後の区別が無いつくりとなっています。袖や首元・腕まわりも動きやすいゆとりがあるシルエットです。
“フィッシャーマンズセーター”とも呼ばれ、かつではセーター以外の袖や襟部分に使われる丸編みで作られたセーターも“ガンジー”と呼ばれていました。漁師たちの定番着として着用されていたことから“フィッシャーマンセーター”の原型とも言われます。
直線的なラインのつくりとマチがあるのがポイントで、両脇にひし形や襟元三角のマチがあることでゆとりをつくれるため、ダイナミックな動きをしても破れにくい高い耐久性を持ちます。裏表がないガーター編みやゴム編みも組み込むことで伸縮性も持たせ、機動性も高めています。現在は、時代に合わせて進化した「ガンジーセーター」も多く見られます。
ハイネックセーター
「ハイネックセーター」は、首元まで生地があるセーターで、保温性に優れたセーターです。マフラーが無くても暖かさを保つことができ、レイヤードコーデや単品コーデなど好みに合わせて着られます。
“タートルネック”と混同されがちですが、襟を折り返さないところが異なります。襟を折り返さないタイプが“ハイネック”のシルエットになります。肌の露出が少ないため落ち着いた大人っぽい印象にしやすく、顔周りにボリュームを持たせることで小顔に見せる錯視効果を得られます。
首の部分に襟があることで通常のセーターシルエットよりも視線を上部に持っていくことができ、身長を高く見せられるのもポイントです。特に細身の方や肩幅が狭い方におすすめのシルエットとなります。肌寒い季節に重宝する定番のシルエットセーターです。
カウチンセーター
「カウチンセーター」は、カナダにあるバンクーバー島の先住民「カウチン族」発祥のセーターです。柄には意味がありカウチン族にとって紋章のような意味を持つとされます。日本で言えば“家紋”というイメージです。そのため、家によってオリジナルの意匠があると言われます。ちなみに“カウチン”は『日の当たる暖かい土地』を意味しており、豊かな生活を願う意味が込められています。
セーターに付いている羊の毛には油脂が含まれているので、撥水性があり防水・防寒に優れています。そのため、狩猟や漁の時に着用に適しており、労働着として代々愛用されてきました。
漂白や染色など加工をしていない自然な風合いの生成りにワシやトナカイ・幾何学模様などをモチーフにした柄を編み込んでいるのも特徴です。セーター全体に重みがあり、肉厚な生地なのでセーターをメインにしたコーデに向いています。
ちなみに、“ノルディック”柄と似ていますが“ノルディック”は北欧のトラディショナルな柄であり、雪やトナカイのモチーフがメインとなります。「カウチンセーター」にもトナカイをモチーフにすることがありますが、クマやクジラなど海の動物などもモチーフに取り入れられている点でも異なり、目立つように大きく編み込まれています。
フィッシャーマンセーター
「フィッシャーマンセーター」は、アイルランドの西に位置するアラン諸島発祥なので“アランニット”とも呼ばれるセーターです。さかのぼること500年前からアイルランドやスコットランドの漁師に愛用されているセーターと言われ、油脂が残る羊毛を手編みしたセーターには、高い保温性と防寒性が備わっています。
手編みならではのザックリとした網目が素朴な風合いが醸し出されており、アラン柄として馴染みが深いケーブル編み(縄編み)やダイヤ柄を組み合わせた柄が特徴となっています。大漁祈願や漁から無事に戻る安全祈願の意味を込めて各家庭によりオリジナルのデザインが施されています。
伝統的なシルエットデザインの「フィッシャーマンセーター」はメンズに限らずレディースのアイテムとしても人気です。セーターには重みがあり、セーターをポイントにした着こなしコーデに向いています。トラッドスタイルとの相性も良く、上品なイメージにしたい時にもおすすめです。
まとめ
今回、メンズセーターの種類やニットとカーディガンとの違いや定番のセーターのシルエット&デザインの種類について詳しく解説&紹介をしてきましたがいかがでしたでしょうか。豊富なセーターのシルエット&デザインを知ることで季節にあったセーターコーデがしやすくなります。これから本格的なセーターシーズンに入るにあたり、ぜひセーターのシルエットにこだわっておしゃれなセーターコーデを楽しんでみて下さい。今回の記事が参考になれば幸いです。