お盆を過ぎると紳士服ショップの店頭や通販サイトでも少しずつ秋冬アイテムが増えてきます。その中でも「ニット」は、セーターやカーディガンなどメンズコーデとして欠かせないアイテムとなります。ニットは秋冬だけでなく、気温が変動しやすい春先や夏にも快適に着られます。様々なシーンで使用できる分、選び方が難しいと感じることもあるでしょう。そこで、今回はニットの中でも特にビジネスシーンで取り入れやすいセーターの素材や洗濯方法から、ニットとの違いついて詳しく解説&紹介していきます。
メンズセーターとは?ニットの違いについて
セーターとは、羊毛などからできた1本の糸をループ(輪)にして編みこみながら作られたトップスで、ニットの一種になります。前開き式のカーディガンとは形状が異なり、メインで着たりスーツのインナーにしたり1年を通して素材を変えながら楽しめるメンズファッションアイテムです。
メンズセーターの素材
メンズセーターの素材は、主に動物の毛から作られた「動物繊維」、植物由来の「植物繊維」、化学的に取り出し加工された「化学繊維」の3種類あります。繊維の違いにより性質や見た目などが異なり、季節に合ったコーデを楽しめます。それぞれの特徴を順に見ていきましょう。
動物繊維
動物繊維には羊の毛を使用した「ウール」、カシミヤ山羊の毛の「カシミア」、アンゴラウサギの毛の「アンゴラ」、アンゴラ山羊の毛を使用した「モヘア」、アルパカの毛を使用した高級素材の「アルパカ」など動物の毛を使用した素材や蚕(かいこ)の 繭(まゆ)を使用した「シルク」があります。保温性に優れ、秋や冬に活躍する素材です。
植物繊維
植物繊維には、綿花を使用した「綿(コットン)」、麻の皮を使用した「麻(リネン)」が一般的に使用される植物由来の繊維として存在しています。吸水性や肌ざわりなどが優れ、春や夏のセーター素材にも良く使用される素材です。
化学繊維
化学繊維には動物繊維に近い風合いを出せる「アクリル」、綿(コットン)に近い質感で丈夫でシワになりにくい「ポリエステル」、シルクの質感に近く再生繊維の「レーヨン素材」、ストレッチ性に優れた化学繊維と自然繊維の混合素材である「ナイロン」などがあり、季節問わず使用される素材です。
メンズセーターの洗濯・クリーニング
夏はもちろん、冬でも室温調節された空間にいれば汗もかきやすくなります。そのため、定期的にセーターを洗ってお手入れすることが大切です。夏は特に洗濯を前提とした素材を選ぶと、お手入れもラクになります。セーターのお手入れの仕方について解説していきます。
セーターの洗濯・クリーニング方法
まずは洗濯表示をし、手洗いか洗濯機洗いが可能かを確認しましょう。最近は洗濯機洗いに対応したニットも続々と登場しており、気軽に洗濯できるようになってきています。水洗い不可のマークであれば、クリーニング店にお任せするとトラブルの心配を防げます。
自宅で洗うのが難しいとされているのは動物繊維の「カシミヤ」・「ウール」、天然素材の「麻」で、「カシミヤ」・「ウール」・「麻」は水に濡れることで繊維がお互いに絡まりやすくなるので縮みなどの原因になります。
また、「麻」や「シルク」は色落ちしやすい点でも注意が必要です。「レーヨン」や「ウール」・「キュプラ」などの繊細な繊維は毛羽立ちやすく風合いを損ねやすいので、心配な場合はクリーニング店に出す方が無難でしょう。(※「麻」素材のセーターでも自宅で洗濯可能な場合があります。洗濯表示をご確認下さい。)
毛玉になりにくい素材ならば、洗濯機洗いによるダメージの心配が少ないので気楽に洗えます。コットン(綿)や化学繊維は自宅で洗濯しても縮みにくく摩擦に強いので、通常の洗濯コースで洗濯可能です。ちなみに、洗濯する時は裏返しにして洗濯ネットに入れてこすれによるダメージを防ぎましょう。シミなどの汚れがある場合は、汚れた部分をつまみ洗いしてから洗濯機または手洗いします。汚れた面が外側になるようにたたんでネットに入れて洗うと汚れが落ちやすくなります。
洗剤は“おしゃれ着洗い専用”洗剤を使用し、洗濯機のモードも“おしゃれ着洗いコース”または“手造り”・“弱水流”などやさしく洗えるモードを選ぶのがコツです。柔軟剤も使用し、縮みや防臭・ごわつきを防ぎましょう。ちなみに、ニットを洗う時はニットのみで洗濯すると色移りも防げます。
手洗いをする場合は、30℃位のぬるま湯で洗うようにしましょう。セーターが動物性繊維で作られている場合、体温ほどの温度で洗うとダメージを防ぎながら汚れを浮かせて落としやすくなります。温度が高いと縮みや伸びの原因となるので温度には注意しましょう。特に化繊は生地が伸びやすい傾向があります。
手洗いの場合は洗濯ネットに入れて洗う必要はありませんが、脱水時に洗濯ネットが必要になるので、洗濯ネットに入れて洗濯すると洗濯ネットに入れる手間が省けます。やさしく押し洗いが基本で、繊維全体に洗剤液が浸透するようにして汚れを浮かせていきます。汚れの状態がひどい場合は10分ほど漬けておくと汚れが取れやすくなります。すすぎは、洗剤液や汚れが残らないようにしっかりすすぎ、30秒以下の脱水で仕上げます。
セーターの干し方
水を含んだニットは重みがあるのでそのままハンガーに掛けてしまうと、セーター自体の重みで袖や裾が伸びやすくなり、型崩れの原因となります。そのため、ニットを干す専用の“平干し用ネット”で干すのがおすすめです。
100円ショップなどでも簡単に購入できますが、“平干し用ネット”が無い場合はハンガー2つとフェイスタオル・ピンチを代用して“平干し用ネット”を作ることができます。作り方の手順としてまず、ハンガーのバーにフェイスタオルの端2カ所をそれぞれピンチで留めます。次にフェイスタオルの反対側の端ももう1つのハンガーのバーにピンチで固定すれば簡易的なハンモック状の“平干し用ネット”が完成です。平らにセーターを載せることで型崩れせず干せます。
セーターの保管の仕方
大切なセーターの型崩れを防ぐためにも、厚手のセーターならば収納の際はたたんでしまうと生地自体に負担がかからずおすすめです。たたみ方は、通常の洋服アイテムと同じようにたたむ方法でOKです。薄いセーター生地の場合は折りシワがつきやすくなるので、ハンガー収納すると良いでしょう。
ハンガー収納の場合は“アーチ型”ハンガーを選ぶと、ハンガーの角で肩部分にシワがつくのを防げます。“アーチ型”ハンガーが無い場合は、前身ごろを内側にして縦半分に折り、袖同士を合わせてハンガーの上から包み込むように掛け、ずり落ちないようにハンガーの下のバーに挟み込みことで大きな折りシワを防ぐことができます。
保管していたセーターのシワが気になる場合は、「スチーマー」を使用するとできてしまったシワを簡単に改善できます。シワ改善だけでなく、除菌効果や消臭・防臭の効果も得られます。「スチーマー」が無い場合は、入浴後またはシャワー後の浴室内に吊るしておくとシワや臭いの軽減ができます。
セーターの簡単お手入れ
素材によって毛羽立ちや毛玉の心配がある場合は、洗濯回数を減らすために「消臭&除菌スプレー」を使用したお手入れもおすすめです。セーターについた臭いの改善や除菌効果に期待ができます。メーカーによって、さまざまな香りがついたタイプも発売されているので、自分の好みに合わせて「消臭&除菌スプレー」を選ぶと良いでしょう。
ちなみに、自宅で洗うことが難しい素材のセーターの場合は「消臭&除菌スプレー」を使用する前に、セーターの目立たない箇所でスプレーしてみて問題が無いか確かめてから全体に使用することをおすすめします。シルクやレーヨンなど繊細な素材の場合は、縮みやシミとなる恐れがあるので注意が必要です。
メンズセーターが活躍する季節&温度
気温によってセーターの素材を選ぶと1年を通してセーターを取り入れたコーデを楽しめます。一般的にニットが活躍する季節は10〜4月の春・秋・冬とされており、気温や季節感に合わせてセーターを選ぶと良いでしょう。
3〜5月の春期間は5〜23℃と気温の幅が1ヶ月単位で変わってくるため、気温に応じて素材や生地の厚さを意識して選ぶことが大切になります。夏は気温が高くなり35℃を超えることも珍しくありません。室内に入ると冷房がよく効いていて肌寒いこともあるので、サマーセーターがあると体温調節しやすく活躍します。本格的な厚手のセーターが活躍するのは15℃以下からとなり、動物繊維のセーターで保温性を確保しながらジャケットなどの組み合わせたコーデを楽しむと良いでしょう。
まとめ
今回、メンズセーターの素材やお手入れ方法、セーターとニットの違いについて詳しく解説&紹介をしてきましたがいかがでしたでしょうか。これからの季節に活躍するセーターについて詳しく知ることで、セーターを使ったコーデの幅が広がるキッカケになったのではないでしょうか。今回の記事が参考になれば幸いです。