レザーと一口に言っても牛や馬・豚・山羊・ワニなど多くの種類のレザーがあります。その中でも「羊革(シープスキン)」は滑らかな質感が魅力です。ファッション業界でもジャケットやパンツ・コート、手袋など多くのアイテムに使われており、メンズ通販サイトや紳士服店でもさまざまな「羊革(シープスキン)」アイテムを見かけるでしょう。そこで今回は「羊革(シープスキン)」の種類や特徴・お手入れ方法・シープレザーやラムレザーとの違いなどについて詳しく解説していきます。
「羊革(シープスキン)」とは
「羊革(シープスキン)」とは、その名の通り“羊”を使用したレザーアイテムです。牛革や山羊皮などとは異なり柔らかい質感を持つため、着用した時により身体にフィットします。そのため、レザー特有のハードな印象とはなりにくく、レザー初心者の方も取り入れやすいレザーアイテムと言えるでしょう。季節問わず取り入れられますが、特に春や秋などのコーデにおすすめです。
「羊革(シープスキン)」の特徴
「羊革(シープスキン)」は羊革のことを指します。ウェアとして使われる「羊革(シープスキン)」は食用の肉を取り除いた後の皮を使用しているので環境に配慮した生地素材でもあります。
キメが細かく、軽さや通気性に優れていることから加工しやすい革としてさまざまなアイテムに使用されています。また、銀面(毛や表皮を除いた真皮部分)は、丈夫かつ染料も均等に馴染みやすい特徴を持つので、着色した際に色をキレイに発色させることができます。そのため、プリント加工にも適しています。
「羊革(シープスキン)」の種類
「羊革(シープスキン)」には、生息地別に特徴の異なる羊「ウールシープ」と「ヘアシープ」の2種類の羊の皮を使用した生地種類があります。
寒冷地域に生息している羊「ウールシープ」
「ウールシープ」は日本よりも北の緯度に位置するヨーロッパなどの気温が低い地域に生息している羊です。寒冷地に暮らす羊にはしっかりと密度の濃い毛と脂肪が蓄えられており、毛を活かしながら鞣す(なめす)ことでムートンと呼ばれる毛皮が出来上がります。ムートンは皮の裏側(内側)を起毛加工してスエード仕上げしたものです。
ちなみに、“鞣す(なめす) ”とは皮の状態からタンパク質や脂肪を取り除いて分子を化学的に結合させることで皮を腐らないようにし、耐久性や保存性を出す加工技術のことを言います。
温暖地域に生息している羊「ヘアシープ」
対して日本よりも緯度が低い位置にあるエチオピアなど温暖な地域に住む羊を「ヘアシープ」と呼び、乳や肉を目的に飼育されている羊でもあります。
「ヘアシープ」の毛は短く皮下脂肪も少ないので、ジャケットや手袋・皮靴などのアイテムの加工に適しています。革の繊維密度が高いことでツヤがある加工を得意としています。
「羊革(シープスキン)」のお手入れ方法
革アイテムのお手入れは難しいというイメージがあるかもしれませんが、実はポイントを押さえればいつもの洋服と同じ感覚で「羊革(シープスキン)」アイテムを取り入れられます。
普段のお手入れはタオルで“サッ”と拭く
普段のお手入れはタオルでサッと拭く程度でOKです。雨に濡れたり汗をかいたりして湿ってしまった場合は、湿気によるカビを防ぐためにタオルで水気を優しく拭きとってから陰干しをしましょう。汗で濡れてしまった場合は、硬く絞ったタオルでやさしく拭いてから陰干しします。
直接、日の当たる場所に干したりドライヤーで乾かしたりすると、乾燥による硬化が起きてしまうので注意しましょう。また、シーズン終わりなどの節目は、乾いたタオルでサッと拭いてから、革の状態を観察して乾燥や突っ張りが感じられた場合は “ラノリン”という羊毛から作られるオイルを塗って保湿してあげます。
撥水加工をしておくと便利
また、撥水加工をしておくことも1つの方法です。突然の雨で濡れてしまったり、食べ物や飲み物をこぼしたりしてしまった時のリスクを防ぎやすくなります。一般的に革アイテムは、水分の浸透性が良いため、シミやシワにもなりやすい弱点を持ちます。
水分を含んでしまうと革が硬くなりやすいので、型崩れの原因にも繋がりやすくなります。そのため、あらかじめ撥水加工をしておくと、トラブルが起きてしまった場合も取り返しのつかない事態を避けられるでしょう。
撥水加工をしていない状態でアクシデントが起きた場合も、すぐにクリーニング店に相談すれば、対応してもらえる場合もあります。早期にケアしてもらうことで、シミや型崩れの修正に期待が持てるでしょう。万が一、アクシデントが起きてしまった場合はまず、クリーニング店に相談してみると良いでしょう。
「羊革(シープスキン)」の経年変化
「羊革(シープスキン)」の経年変化は一般的に出にくいとされています。「羊革(シープスキン)」は牛革や馬革と比べてソフトな質感のため、シワが入りにくく使いこむことによる独特な風合いが思う通りに得られないことがあります。
しかし、「羊革(シープスキン)」を使ったアイテムの革の厚みによっても革の経過状態が異なってくると考えられるため、一概に経年変化が出にくいとは言い切れないようです。経年変化によるこなれ感が欲しい方は、購入時に紳士服ショップスタッフに相談してみると良いでしょう。
「羊革(シープスキン)」のおすすめコーデ
ハードな印象のあるレザーも「羊革(シープスキン)」であれば、カジュアルからキレイ目のコーデまで幅広く対応可能です。カジュアルとキレイ目のイメージ別コーデについてご紹介します。
「羊革(シープスキン)」のカジュアルコーデ
ジーンズと合わせて「羊革(シープスキン)」を取り入れると手軽にカジュアルコーデを楽しめます。ワイルドな着こなしコーデを狙うならば、ダメージジーンズと合わせるのもおすすめです。カジュアルの場合は、インナーのシャツなどはタックアウトして着るとこなれ感が出せます。
インナーにパーカーをレイヤードして着るコーデは、ハードなレザーアイテムを和らげてマイルドな着こなしを目指せます。パーカーを「羊革(シープスキン)」ジャケットの中に仕込むことで、トレンド感ある着こなしができます。ゆとりのあるパーカーではなく、身体にフィットするサイズのパーカーを選ぶとジャケットのラインを崩さずキレイに着られます。黒色・ブラックの「羊革(シープスキン)」ジャケットならば、パーカーは反対色の白色・ホワイトを合わせると、軽さが出て重くなりません。
「羊革(シープスキン)」のキレイ目コーデ
レザーのクール感を活かした着こなしコーデがおすすめです。インナーとパンツの色をレザーの色と合わせてまとめるとクールに仕上がります。
シンプルな白色・ホワイトシャツをタックアウトして「羊革(シープスキン)」ジャケットを合わせるシンプルなコーデはレザー初心者の方も挑戦しやすいでしょう。「羊革(シープスキン)」ジャケットは黒色・ブラックをチョイスした場合は、ボトムスに灰色・グレーなどの同系色で合わせると統一感がある上品な印象になります。
茶色・ブラウンの「羊革(シープスキン)」のジャケットを選んだ場合は、インナーに黒色・ブラックを選んでクールな印象にしつつ、ボトムスに茶色・ブラウンの同系中間色のベージュを取り入れるとマイルドなイメージとなり、センス良く着こなせます。パンツのラインは、ストンとしたラインのものを選ぶと脚のラインもキレイに見せられます。
「羊革(シープスキン)」と「シープレザー」と「ラムレザー」との違い
「羊革(シープスキン)」とは羊の革のことを指し、羊革全体の総称です。そのため、「シープレザー」と「ラムレザー」は「羊革(シープスキン)」の一部ということになります。
「シープレザー」は生後1年以上の羊の革
「シープレザー」は、生後1年以上の羊の革を指します。「ラムレザー」と比べて大きい面積が得られるかわりに、革自体の重さや厚みが増すのが特徴です。毛穴も大きくなるため、繊細なツヤ感がある仕上がりではなく、多くはムートンやスエード加工されます。ちなみに、食用だと“マトン”と呼ばれる羊にあたります。
「ラムレザー」は生後1歳未満の羊の革
「ラムレザー」は、生後1歳未満の羊の革を指します。革として得られる面積は小さい分、小さなレザーアイテムに向いているとされます。毛穴が小さく、表面のキメが細かいため、ツヤがあり滑らかな手触りが魅力です。柔らかく軽いのも特徴で男性用だけでなく、女性用のレザーアイテムにもピッタリです。「ラム」の中でも生後6ヶ月の革は「ベビーラム」と呼ばれ、ウェアよりも財布やキーケース・ポーチなどの小物向きです。食用だと“ラム”と呼ばれる羊にあたります。
「羊革(シープスキン)」のメリット&デメリットを整理
「羊革(シープスキン)」について特徴など解説してきましたが、ここでメリットとデメリットについておさらいしてみましょう。
「羊革(シープスキン)」のメリット
牛革や山羊革に比べてソフトな質感です。軽さもあるので、ロングコートなど着丈の長いタイプにも向いています。また、柔軟性があり伸びるので、身体にフィットした快適な着心地を得られます。ハードな印象となりにくく、キレイ目な洋服コーデにも合わせやすいのでレザーアイテム初心者の方も取り入れやすいでしょう。
「羊革(シープスキン)」のデメリット
革アイテムを使用するうちに出て来る自然なツヤやシワなど、独特な質感が得られにくい点と言えるでしょう。「羊革(シープスキン)」の革厚が薄い場合には、傷に弱いといった点も挙げられます。しかし、革の厚みによって強さも変わってくるため、購入の際は革の厚みなども目的に合わせて選ぶと傷つきのリスクを抑えられます。
まとめ
今回、「羊革(シープスキン)」の特徴や手入れ方法・シープレザーやラムレザーとの違いなどについて詳しく解説&紹介をしてきましたがいかがでしたでしょうか。「羊革(シープスキン)」の特徴やお手入れ方法などを知ることで、「羊革(シープスキン)」をどう取り入れたら良いか悩んでいた方も気軽に取り入れやすくなったのではないでしょうか。さまざまなカラータイプも登場しているのでぜひ、秋の装いコーデに取り入れてみると良いでしょう。今回の記事が参考になれば幸いです。